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女の子が寝ている間に気持ちを伝えてみたら…



自然に目が覚める、気持ちが良い、疲れが取れてさっぱりした感じが良い睡眠の条件な気がする

この校舎の暖房能力はとてもすごい、そのためすぐに眠くなってしまう

そんなことは置いといて、僕のクラスにはとても可愛い女の子がいる、学年で1番可愛いとか言われている

その女の子は冨里奈央さん、冨里さんはいつも寝ているどんなときも寝ている気づいたら寝ている、きっとこの校舎のせいだろう

朝、教室に入り自分の席につく

彩:〇〇おはよ〜!

近くの席の彩がやって来る

〇〇:彩おはよ

彩:やっぱこの校舎暑いよね、1時間目から寝ちゃうよ〜!

〇〇:ね、てか冨里さんはもう寝てるしね

彩:あ〜!また奈央のこと見てるじゃん!

彩:もう好きなら話かければいいのにさ!

〇〇:いやいや寝てるし起こすの悪いもん、席遠いし、そもそもそこまで仲良くないし、今までも接点ないし…見るので十分だし…

彩:そう?

彩:てか言い訳が長いよ、喋りかければ奈央も起きてると思うんだけど

〇〇:僕は無謀なチャレンジはしないの、それにチャンスはどんぐりみたいにコロコロ転がってくるもんなんだから

彩:そっか〜、まぁ今日も頑張ろうね!



授業中のふとした瞬間いや気づいたら冨里さんばかり見ている、先生が話している内容なんて覚えていない

僕の脳内では先生が「冨里の寝顔ここテストに出るからなちゃんと覚えておけよ」と言っている記憶が、あれそんなことは…言ってないか…「富里の寝顔の復習もしとけよ」だっけ…?

やはり今日も気づくと冨里さんばかり見ている

授業が始まり10分、目が少しづつ閉じていき徐々に頭が机に近づいていくまだ1時間目なのに

不思議なことに、寝顔も可愛い

授業が終わると冨里さんは友人達に囲まれながらも寝ている、そんな姿がたまらなく可愛い

お昼休み、午前中すべての授業を寝て過ごした後に美味しそうにご飯を食べる姿も最高に可愛い

また午後の授業もお腹いっぱいになったのか眠っている姿が可愛い

結局遠くから見ているだけだがそれで満足だ、まぁこんなに可愛い姿がもっと近くで見られれば良いのだけれど

〇〇:もっと仲良くなれたらなぁ…



そんなある日のことだった

放課後、部活がミーティングのみで終わり荷物を取りに教室へ戻ったときだった

〇〇:課題…英語のワークどこにしまったっけ…

そう言いながら教室に入ると

寝ている冨里さんが

〇〇:あれ?冨里さんまだ寝てる

確か帰りのホームルーム中も寝てたよなぁ、そっからずっと寝てるのかな

荷物をまとめ終わり冨里さんに近づく、すうすうと寝息を立てていて気持ちよさそうに寝ている

〇〇:これはチャンスなのかなぁ…ころころ転がってきたのかな…?

寝顔を眺める

いつもよりも近くでその可愛い姿に吸い込まれていると、この寝顔を自分1人で独占したい気持ちと伴に

〇〇:可愛い…

〇〇:好きだなぁ…

思わず声が漏れてしまった

ハッ!とするが冨里さんはまだ眠っており安心する

〇〇:でも…言うとき無いし…

〇〇:どんぐりはいっぱい転がっているけどチャンスはどんぐりみたいにいっぱいころころ転がって無いんだよね

〇〇:冨里さん寝てるしいいかな…

〇〇:冨里さん好きです

〇〇:本当はもっと仲良くなりたいし、冨里さんの可愛い寝顔、笑ってる顔、全部を守っていきたいなと密かに思っています

〇〇:付き合ってくださいは…起きてるときに言うべきだよね

冨里さんはまだ寝ている

〇〇:まぁ…でも聞いてないんだよね

〇〇:さ、今日は帰ってアニメでもイッキ見するかな、風邪引かないようにしてください

そう言って持っていた上着をかけてあげその日は帰路についた

次の日、部活が終わった後にまた忘れ物をしたため教室に戻った

教室に入ると

今日も冨里さんは寝ていた時間は6時に近く外は暗くなり始めている

〇〇:あれ?今日も寝てるもう6時になっちゃうけど…

忘れた荷物を見つけて冨里さんの近くへ

〇〇:はぁ…今日も1日可愛かったなぁ…

〇〇:どうしてこんなに可愛いのか…

〇〇:みんなから眠り姫なんて呼ばれてるんですよ、知ってるのかな

〇〇:うーん…担任にでも報告しておくか…

そのまた次の日、今日も冨里さんがいるのではないかと期待して何も無いのに教室に来てみた

そうしたら案の定、富里さんは寝ていた

今日はなぜか僕の机で寝ている

〇〇:なんで僕の机で寝ているんだ?

ドアの方に顔を向けて寝ている

〇〇:あぁ…今日も可愛いなぁ

自分の机へ向かう

〇〇:なんか最近毎日言ってる気がするけど可愛いし好きだなぁ…

〇〇:でも可愛いしか言ってないよな

〇〇:もっと性格とか中身の部分も知りたいな

〇〇:でも寝てるもんなぁ…

〇〇:眠り姫…白雪姫みたいにキスしたら目を覚ますとか?

〇〇:まぁ…いっか、今日も担任に寝てるって報告いれとくか

夕焼けが差し込む教室、〇〇は耳が赤くなっていることに気づくことはできなかった

そしてこれがまる1週間ほど続いた



奈央:〇〇くんもう行ったかな…

冨里奈央は目を開き赤くなった顔を押さえる

奈央:もう…可愛いって…

奈央:全部聞こえてるよ…

眠っていると思って言っていた言葉はすべて私に聞こえているのだよ

あの日のことを振り返る

その日はホームルームの時間からずっと寝ていたみたいでそのまま放課後も寝ていた

少し寝すぎたかなぁと目を開こうとしたときだった

〇〇:あれ?冨里さんまだ寝てる

〇〇くんがやって来たことに驚きとっさに寝たフリを続けた

〇〇:これはチャンスなのかなぁ…

〇〇くんが何か言っている…何されちゃうんだろう…

するといきなり

〇〇:好き

〇〇:可愛い

っっっ…!!!好きなんて…

ほぼ告白をされていた、それに加え寒くならないように上着をかけてくれた少しやばいかも

また別の日は私が眠り姫と言われていることを話していた

私が〇〇くんの上着を着て寝てるのには気づいてなかった

またまた別の日にも〇〇くんに好意を伝えられた、私が気になり始めていたのは内緒だけど、少しちょろいかな?

その日はちょっと意識してもらえるかなぁなんて思って〇〇くんの机で寝てみたら、白雪姫みたいにキスして起こそうだなんて思ってもいないカウンターを食らってしまった

夕日が教室の中に差し込んでくれたおかげで顔が赤くなってしまったのが見られなくてとても助かった

最近は〇〇くんが教室に来ることを期待して放課後は寝たフリをしているなんて恥ずかしくて言えないよ



〇〇が部活終わり教室に戻る、奈央が放課後に寝たフリをするのが恒例になった頃

部活が終わり今日も冨里さんを眺めに教室に行こうとすると

彩:〇〇〜!最近なんか毎日校舎の中戻ってない?

彩:なにしてるの?

〇〇:最近さ忘れ物が酷くて毎日取りに戻ってるの

彩:んん〜?怪しいなぁ…

彩:彩も着いてく!

〇〇:別になんも無いけど…

彩:絶対になにかあるもん!

本当はなにかあるけど仕方なく彩を連れて教室に戻ることにした



放課後、外を眺めて時間を潰す

〇〇くんの部活が終わったみたいだからそろそろ寝ようかな、最近は放課後に眠ることがなくなったなぜなら〇〇くんの部活の姿をずっと見てるから

いつもの時間のいつもの景色、私は寝たフリをした

すると声が聞こえてきた

〇〇:だからさ、何もないって!

あ、〇〇くんの声だ

彩:い〜や!絶対あるもん!

ん…?あーやもいるの…?

彩:普通そんなに忘れ物しないって毎日でしょ?

〇〇:いや、絶対しないって意気込んでるんだけどね

彩:嘘だ!

〇〇:嘘じゃないよ

廊下を2人でやいやいと言い合いしながら歩いている

いいなぁ…私も〇〇くんともっと喋りたいなぁ…

そのまま2人は教室にやって来た



彩:も〜!まぁいいや今日は何を忘れたの!

怪しい様子の〇〇についていく、絶対なんかあるもん!

〇〇:今日は明日のリスニングのテストのあれが…

彩:え?でもそれって…あしたじゃな…

彩:あ〜…なるほどね〜…

分かった、奈央がここで寝ているから〇〇は毎日会いに来てるんだ

〇〇:ん?どうかした?

彩:なんでもな〜い!

〇〇:彩はテストの勉強進めてる?あのテストだけで主体的に取り組む態度の評価決まるんだって

彩:え〜?〇〇はそんな細かい部分まで彩のこと知りたいの?

奈央はきっと…そんな奈央の前で少し意地悪してみたくなっちゃった

〇〇:いや、そういうことじゃなくてさ

彩:もう!それなら言ってよ!

彩:彩のこと好きすぎなんだから!

彩:このこの!

彩:ほっぺつつくなよ!

彩:お家まで来てくれたらもっと教えちゃうぞ〜!

彩:あ、やば!彩早く帰んないと!今日は飛鳥さんの配信があるんだった!じゃあね〜!

奈央の顔を見たら羨ましそうな顔をしながらこちらを睨んでいた、ちょっと意地悪しすぎたかな?



彩はすごい勢いで帰っていった

〇〇:ん〜…何がしたかったんだろう…

今日はもう帰ろうと一旦教室の中を見渡すと

奈央:むぅ…

いつも寝ているはずの冨里さんが少し怒ったようなプク顔をして立ち上がっている

〇〇:……

急なことで何も発せずにいると

奈央:〇〇くん…?

冨里さんが話しかけてきた

〇〇:な…何でしょうか…

奈央:奈央に言ったよね?

〇〇:な…何を…?

奈央:好きって

奈央:奈央に好きって言ったのは嘘だったの?

〇〇:ん?えっと…えぇ…?

〇〇:もしかしてだけど聞いてた…ってこと…?

奈央:うん

〇〇:恥ず…聞かれてないと思ってたのに…

奈央:そんなことよりありえなくない?なんで奈央に好きって言って〇〇くんはあーやとイチャイチャしてるの?

奈央:奈央はどんどん〇〇くんに惹かれてるっていうのに…

〇〇:え…冨里さんが…?僕のことを…?

奈央:実はねあの日、急に〇〇くんが来たからとっさに寝たフリをしたの、そうしたら〇〇くんが近くで可愛いとか好きとか…

奈央:なんなら寝てる奈央に上着までかけて、白雪姫みたいにキスで起こそうって!?どれだけ奈央をドキドキさせれば満足するわけ!?

奈央:〇〇くんにかけてもらった上着を着て寝たり、わざわざ〇〇くんの机の上で寝てみたりアピールもしてたのに…

〇〇:そうだったんだ…

奈央:チャンスはどんぐりみたいにいっぱい転がってないけど今回はチャンスしか転がってないよ…?大チャンスだけど…?

〇〇:あぁ…しっかりどんぐりも聞かれてる…

奈央:だって全部寝たフリだもん

奈央:で、どうする?今回は起きてるよ?〇〇くんから言ってほしいなぁ

〇〇:じゃ…じゃあ

〇〇:かなり段階すっとばしてるし間が足りない気がするけど

〇〇:もっと仲良くなりたいし、冨里さんの可愛い寝顔、笑ってる顔、全部を守っていきたいとずっとずっと思っていました!冨里さん好きです…付き合ってください…!

奈央:うん、うん…付き合う…!えへへ…


こうして付き合った2人は今まで喋らなかった期間を無かったことにするかのごとく一緒にいる時間を増やした

休日は2人で昼寝デートをしてみたり

放課後は睡眠デートをしてみたり

最近では席が隣になったため2人で授業中から休み時間までずっと寝てるみたいで先生も困っているようだ

彩:ちょっとこの2人寝過ぎなんだけど!?

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