後輩に甘やかされてます…
毛布にお世話になった冬は終わり
そろそろ半袖の季節になる
そんなのは置いといて今日が始まる
ー
朝の6時30分
キッチンのフライパンから発せられる心地よい音と
ガチャガチャと食器による演奏で目を覚ます
〇〇:んっ…
〇〇:眠いな…
しばらくボーっとしてると
ガチャ
母親が起こしに来たのかとドアの方を見ると
奈央:あ、先輩起きてたんですね
奈央:おはようございます
後輩の冨里奈央が
〇〇:……
〇〇:??
〇〇:なんでいんの?
はてなが止まらない
奈央:〇〇先輩のお母さんから許可でてるんで!
〇〇:……?
まぁ詳しいことは後にしよう
奈央:先輩まだ寝てていいですよ〜
奈央:7時になったらまた起こしてあげますからね〜
その言葉に甘え再びベッドへ
〇〇:じゃあ…お願いします…
目を閉じ夢の世界へ
入ろうとすると
ナデナデ
ナデナデ
頭をなでてくる奈央
〇〇:なにしてんの?
奈央:甘やかしてます
〇〇:なんで?
奈央:まぁ…
奈央:将来的には?
奈央:先輩と結婚を考えているので
〇〇:ん?
奈央:先輩をダメダメにして〜
奈央:奈央がいない日常なんて考えられないっ!
奈央:俺と結婚してくれ!
奈央:ってな感じで結婚したいなぁと!
〇〇:やっぱ起きるわ
奈央:なんでぇ!
奈央:奈央に先輩のかわいい寝顔もっと見せて下さいよ〜!
奈央:奈央が居ないとぐっすり眠れないんだ!
奈央:結婚してくれ!
奈央:ってなる予定だったのに〜!
〇〇:自立させろ!
〇〇:なんでダメにさせようとするんだ!
奈央:先輩と結婚するためなんで!
〇〇:食い気味にくるな!
奈央:奈央が養ってあげますよ〜
〇〇:ちょっ、近づいてくるな
〇〇:着替えるから!
奈央:奈央が着替えさせてあげますよ〜!
〇〇:早く部屋から出ろよ!
奈央:お願いします!
奈央:着替え手伝わせて下さい!
〇〇:頼みこんでくるなよ!
〇〇:もうっ!
ぬぎッ!
上裸になる
奈央:ちょっと…先輩…カァー//
奈央:女の子がいるんですよぉー!!
奈央:脱がないで下さい〜!!!
すごいスピードで部屋を出てく後輩
〇〇:え?
〇〇:着替えするなら見るんだよね?
朝ごはん中の奈央は隣で
顔を赤くしずっとうつむいていました
ー
朝の一悶着を終え登校
奈央:もう!先輩!
奈央:いきなり脱ぐのはNGです!
〇〇:え?でも着替えの時は見ることになるけど
奈央:いきなり脱がれるとびっくりするんです!
奈央:タイミングと心の準備ってのがあるんですよ!
〇〇:そこまでしなくても…
奈央:ダメです!
奈央:奈央が居ないと着替えも出来なくなっちゃった
奈央:結婚してくれ!
奈央:ってなるとこまでいかないと…
〇〇:なんだそのプロポーズは
〇〇:カッコ悪すぎだろ
奈央:そんなことないですよ〜
奈央:そんな先輩でもかわいくてカッコいいですよ〜
奈央:あ!先輩!
奈央:はいっ!
手をこちらに差し出す奈央
〇〇:ん?
〇〇:なにこの手は?
奈央:手繋ぐんです!
〇〇:なんで?
〇〇:大丈夫なんですが
奈央:学校までちゃんと行けるか不安なんで
〇〇:行けるわ!
〇〇:奈央より1年多く通ってるんだからな!
奈央:うるさいですね!
奈央:黙って手を繋げばいいんですよ!
奈央に手を奪われる
〇〇:え?
〇〇:拒否してるんだけど…
奈央:嫌なら全力で振りほどけばいいじゃないですか?
奈央:なんで抵抗しないんですかぁ〜?
〇〇:くっ…!
〇〇:女の子の手を乱暴にできるわけ無いだろ
ちょっとカッコつけてみる
奈央:え…カッコいい…!
奈央:先輩ってそんなこと言えるんですねっ!
奈央:キャーっ!
奈央:もうっ!奈央は先輩にそんなに大事にされてるんですね!
奈央:嬉しいです!
奈央:ご褒美に手繋ぎから腕組みにしちゃいますっ!
逆効果だった…
結局、腕を組んだ状態で学校へ
他の生徒にはジロジロと見られた
そのまま教室までついてきた
奈央:先輩もうすぐホームルームが始まります
〇〇:そうだね
奈央:宿題はやりましたか?
奈央:勉強道具は忘れてませんか?
奈央:今日は体育がありますね
奈央:ジャージは持ってきましたか?
〇〇:ちょっ…!母親か!
〇〇:それぐらい自分でできるわ!
奈央:奈央が居ないと忘れてたよありがとう
奈央:だから結婚してくれ!
奈央:この言葉待ってますよ〜
〇〇:さっきからプロポーズに微塵もムードが感じられない
奈央:まぁそんなのはいいんですよ
奈央:それでジャージは持ってきましたか?
〇〇:ジャージ?
〇〇:入れたよもちろん!昨日のうちにね
奈央:海外映画みたいに言わないで下さい
〇〇:え…!?
奈央:どうしたんですか〜
〇〇:無い…だと…!?
奈央:え〜?
奈央:あんなに自分でできるって言ったのに
奈央:忘れたんですか〜?
〇〇:え?
〇〇:でも昨日入れて…
〇〇:朝も入ってたし…
ニヤニヤ
奈央が悪い顔をしている
〇〇:もしや…!
奈央:そうです!わたしが家に置いてきました!
〇〇:なにやってんだよ!!
〇〇:どうすんの?
〇〇:今日バレーボールだし!
奈央:そんな先輩に良いお知らせです
〇〇:な、なんでしょう…
奈央:ジャージですが…
奈央:あります!
〇〇:なんだぁ〜あるんじゃん
〇〇:ちょっとしたドッキリかぁ
〇〇:ビックリさせないでよ!
奈央:奈央のがです!
〇〇:え…
〇〇:奈央の…?
奈央:そうです!
奈央:奈央のを着るか体育を見学するか
奈央:どっちにしますか!
〇〇:……
〇〇:奈央さんのを借ります…
奈央:はいっ!どうぞ!
満面の笑みだ
奈央:じゃあ!そろそろ時間ですね!
奈央:またお昼に!
手を振り自分の教室に戻って行く
〇〇:奈央に遊ばれてんのか…?
ー
ようやくお昼ごはんへ
〇〇:よしっ!お昼だ!
友:〇〇〜ご飯食べるぞ〜
〇〇:おっけ!
友達と食べようとすると
〇〇:あれ?弁当は?
無い
〇〇:待って弁当無いわ
友:購買行ってきな
〇〇:行ってくるわ〜
教室から出ようとすると
奈央:先輩っ!
奈央:お昼食べますよ〜!
〇〇:いや〜お昼ご飯忘れてたからさ
〇〇:買ってくるわ
奈央:あ、買わなくていいですよ
奈央:奈央が作ってきてるんで
〇〇:え?
あれよあれよと教室の自席にカムバック
奈央は近くの椅子を持ってきて
机を挟みface-to-face
奈央:では先輩?手は洗って来ましたか?
〇〇:まだだけど
奈央:じゃあはい消毒液に
奈央:ウエットティッシュです
〇〇:お世話され過ぎじゃない?
奈央:先輩を甘やかすのが奈央の仕事ですから
奈央:そして
奈央:奈央がいないと…
〇〇:あ~!分かったから!
〇〇:ご飯食べよ?
奈央:もう〜奈央の手作りが食べたいからってそんなに急がないで下さいよ!
奈央:じゃあこれ先輩のお弁当です
〇〇:おお、好きなものばっかり…
奈央:先輩には好きなものだけ食べて生きて欲しいんです
奈央:じゃあ
奈央:あ~ん!
〇〇:いや!いや!
〇〇:自分で食べれるって!
奈央:奈央が食べさせてあげますっ!
奈央:あ〜ん!
〇〇:自立するから!
〇〇:大丈夫だから!
奈央:……
奈央:奈央には食べさせて欲しくないってことですか…?
奈央:奈央のこと嫌いになったんですか…
奈央:迷惑ですよね…
奈央:ごめんなさい…
〇〇:えっと…泣かしたいわけじゃなくて…!
〇〇:嫌いになったわけじゃないし
〇〇:でもそこまでしなくてもって…
奈央:ウウッ…
〇〇:泣くなよ〜
〇〇:嬉しい!嬉しいから!
〇〇:もう毎回やってほしい!大歓迎!
奈央:もう〜最初からそう言ってくださいよ〜
〇〇:え?
奈央:はいっ!
奈央:あ〜ん!
〇〇:え?さっきのあの悲しいオーラは?
奈央:泣いたら受け入れてくれるかなぁって
〇〇:嘘泣きぃ…
奈央:大歓迎なんですよね?
奈央:あ~ん!
〇〇:仕方ない…
アムッ
モグモグ
〇〇:いや!美味しいな!
奈央:嬉しいです〜!
餌付けされた〇〇は
奈央が満足するまで食べさせられ続け
逆に奈央にも食べさせました
ー
帰宅後
〇〇:はぁ〜疲れたぁ
奈央:そうですね〜
〇〇:宿題やらないと
奈央:そんなのやらなくていいですよ〜
〇〇:……
〇〇:なんでいんの?
奈央:先輩のお母さんから許可でてるんで!
〇〇:まぁそれなら?
奈央:あと
奈央:奈央が家に居ないと物足りないんだ!
奈央:結婚してくれ!
奈央:ってなって欲しいんで〜
〇〇:どこまで結婚したいんだよ…
奈央:あ、
奈央:宿題は奈央がやってあげますから
奈央:夜ご飯も食べさせてあげますからね
奈央:お風呂も背中流してあげますっ!
奈央:寝るときもいい睡眠ができるように腕枕してあげますね!
〇〇:どこまで家にいるんだよ!
奈央:先輩が結婚してくれるまでです!
〇〇:はいはい
奈央:流さないで下さいよ!
〇〇:じゃあ今日は泊まるってこと?
奈央:先輩のお母さんの許可でてるんで
奈央:今日から奈央のお家はここですよ?
〇〇:……
〇〇:??
〇〇:はい?
奈央:奈央のお家はここですっ!
〇〇:え!?
〇〇:奈央の家は良いって言ったの!?
奈央:将来の旦那さんと半同棲してくるって言ったら
奈央:いいよと
奈央:そして先輩のお母さんと連携して
奈央:今に至ります!
〇〇:はぁ!?
奈央:先輩もっともっ〜と甘やかしてあげますからねっ!
奈央:結婚しましょうね〜!
〇〇のダメダメ人間の道は切り拓かれつつある
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