起立性調節障害ってさ。中学編

最初についた病名は起立性調節障害。
或いは自律神経失調症。
サブタイプは体位頻脈性症候群。
又は心身症。
或いは、機能性身体症候群。
病名、言い方を変えようが、
指してるものは同じなんだけど。

4年前に新中学3年生になった。
当時、世間はコロナ禍になった頃。
4月末、異様に春の暖かさが気持ち悪い。
なぜだが、ちょくちょく続けている
ジョギングの足がものすごく重い。
上手く走れずに、足が上がらなくて
立ち止まってしまう。何か変だ。
これがコロナの「倦怠感」ってやつ?
怖くなって1日は外出を控えた。
近頃、塾だってオンラインになってから
なぜか集中できない。
夜も、上手く寝つけない。変だな。
最近立ちくらみも多い。
私は結構規則正しい方だ。
10時〜11時には必ず就寝し、6時に起きる。
夜遅くまでゲームをすることもない。
運動だって、走ったりそれなりにしている。
その日は突然だった。

朝、目が覚めたら体が動かなくなっていた。

まず、怖かった。
指一本、動かそうとしても動かない。
金縛りには何度かなったことがあるが、
それとは全く違う。
金縛りはただ体が動かなくなるだけだが、
それにしては…体が酷く重かった。
まるで体に米袋10kgを何重にも
全身に貼り付けてるような重さ。何だこれ。
よくネットなどのメディア媒体では、
起立性調節障害を「朝起きれない病気」
と形容されているが、これは違う。
この表現ではまるで、眠気から
目が覚めないみたいではないか。
(過眠症はまた別としておいといて)
YouTubeの起立性調節障害を紹介する
ニュースのコメント欄で
「私も朝眠いのに仕事行ってるんですけど💢
この子達ずるいなぁww」みたいなのを見かけた。
当事者以外の無知も見苦しいので、
語弊を招く表現はさっさと辞めてくれと
各メディアに言いたい。
起立性調節障害は、“起きれない”のではない。

物理的に 朝“起き上がれない”病気、だ。

ここを履き違えてはいけない。
パニックになりかけたつもりだったが、
焦ることすらできなかった。
声が出ない。というか、声を出そうという
発想が出てこないくらい頭がボーッとしている。
確か、母親が部屋に来て
「ご飯がいい?パンがいい?」と
朝食の内容を尋ねた際、
「お皿」と答えた謎の記憶がある。
それくらい、私の思考はまとまらなかった。
今なら脳血流低下のせいだ、とはっきり
断定できるが。
この体の重さ(酷すぎる倦怠感)についてだが、
ピンと来ない方は
ONE PIECE ドレスローザ編で、
海軍の藤虎がゾロに食らわしていた
あの攻撃を思い出してもらえば
恐らく想像してもらいやすい。
(分からない方は画像を検索!)
誇張なしで、あの重力が全身に張りついている。
ゾロ状態だった。
一生懸命、必死に力を込めて体全身を
ブルブル震わせながら、四つん這いの姿勢で
起き上がろうとした。筋トレかよ。
何度か失敗して酷く疲れた。
5回目、7時半。ようやく起きれた。
やったぞ!やったー!!
ほら見ろ世界!私を讃えよ!
達成感も束の間。
20秒後、私は土下座の姿勢になっていた。
起立性の民なら、全ての人がとるポーズである。
恐らくあるあるネタ。
こうするとザーッと下がる血液はそのまま頭に
行くという訳だ。
起立性の民は、自然とこうなる。
初期は倦怠感が酷すぎる為、朝起きると、
母親にしがみついてトイレに行っていた。
私は起き上がれなかった次の日に
小児科に行き、「起立性調節障害」と
診断された。
初期の4月〜7月の症状を思い出すと、
・頭痛 
・頭重
・車酔い
・立ちくらみ
・歩行困難
・吐き気
・食欲不振
・臍疝痛(へそ周りの刺すような痛み)
・月経不順
・動悸
・倦怠感
・脳貧血感 
・思考力低下
などなど。典型的だったので、
この頃はまだかなり症状が少ない。

中学3年生編、開幕

中学3年生。受験の年。
当事、「うっせぇわ」が流行っていた。
そんな年。
近頃、塾でも勉強が楽しかった。
今年受験頑張るぞ!
そんな年に起立性調節障害になった。
こんなので大丈夫かー!!私!!
なぜか知らないけど、
今文字をを打っているキーボードの変換で
「中学3円生」と出てくる。
随分安そうな中学生だな。
QOL的には中学3円生だったのかも
しれない。
午前中はほぼ机に伏すという行為のみに
費やし、昼はボロボロに疲れた気分で
食欲のないまま昼食を食べていた。
夕方、やっと元気になり、頭もクリアになる。
この頃初期の症状は午前に症状が酷くて、
午後に治るという起立性調節障害の
典型的な症状だったからまだ楽だった。
また後からどんどん症状は
複雑になるのだが、それはさておき。
学校生活で一番困ったのはテストだった。
これは高校生でも悩まされることになるが、
白紙で提出することもザラで、成績は
ボロボロだった。なぜなら、

問題文が読めない。

読めない。読めない。問題文が読めない。
今まで読めていたのに、何度文字を読んでも、
意味が入力されずに目が滑ってしまう。
例えば「川に入った」という文章が
あるとしよう。
「川」を「かわ」とは読めるし、
「入った」とも発音のイメージとしては頭にある。
ただ、「川に入る」という印字された活字文と、
「川に入る」が意味する動作的なイメージ、
意味内容が全くもって頭では結びつかない。
私はここで初めて、人間が物事を脳で
「理解する」とは、言葉の音の認識の後に、
その意味が付随する仕組みなんだと知った。
脳貧血で血が頭に運ばれず足の方に
流れていっているので当たり前なのだが、
文章を理解する為の脳細胞が必要とする
酸素が全く足りていないのだ。
つまり、体感では発症する前と比べて
意識が10%ほどしかない状態で
無理やり問題文を読む、という感じだ。
無理ゲーか?と言いたい。
最悪なのはテストは午前中にしか
行われない、ということだった。
公平を掲げる公立中に、テストを
午後に実施するなどという症状に対する
配慮は無かった。
泣きたかった。半泣きだった。
もう意識も朦朧としていて、何度も
机に伏すのだが、何度も担任に起こされる。
テストどころじゃないんだって。
意識保つこと自体がキツいんだって。
これで成績が決まるって??バカヤローッ!!!
今まで何度思ったことか。
この世は運が全てだと学んだ瞬間だった。
いくらたまたま体調が良くて、勉強に
集中できても、テスト当日に
脳貧血を起こせば、この体ではもう
アウトである。
だから、中学、高校はテストでよく10点や
20点を取っていた。
0点だったこともあった。
「テスト受けた」とか言われてもね…
私は受けてないんですけど…。
この悔しさを私は3年間
テストの度に経験した。
青春・進路全部潰れたぞ!バカヤローッ!!
この脳貧血の症状の体感を説明すると、
真下に強烈な重力で血が引っ張られて
いっている感覚がある。
ザーッと血が流れていき、
頭全体にガンガン鈍い痛みが
纏わりついている。これだけでも
不快なのだが、さっき上に記した症状も
全部あるわけでテストは無理だった。

中3の夏 ある日突然やべぇことが起きる

ここで、自律神経の症状が激化した。
ターニングポイント。
午後1時半、昼なので普通に塾の授業を
受けていた。夏期講習だったと思う。
突然、ものすごく意識が遠のいて、
激しい頭重感に襲われた。気分が悪い。
胃が気持ち悪い。体が熱い。
ほてっているのだろうか?
動悸がひどくて息苦しい。
ホワイトボードを前に、塾の講師が
何を説明しているのか、全く分からない。
声は聞こえる。目は見える。それは分かる。
でも、その視覚情報や聴覚の情報の、
統合・理解が不可能だった。
何も解らない。解らない。
私の目は何も認識できていなかったし、
何の音も理解できていなかった。
朝の脳貧血とはまた違う感じで、
胃がとても重たく、やっと気がついた後は
とんでもないくらい不快な感じがした。
机に伏したまま、
1、2時間、意識が飛んでいた。
飛んでいた、というのは正確には違う。
ただ、意識がありながら、
いつも当たり前にしている「認識」が
できなかった。
意識が遠のいたまま、ずっとひたすら
不快な感覚にうなされるだけの時間だ。
昼食後、日によって時間は波があるが、
この日から4年間、今日までこの症状は
毎日続いている。
大体1.5〜4時間くらいの間、
毎日言葉にできないほどの不快な
症状に苦しんでいる。
夕方、いつもこのピークが過ぎた時は
混乱する。
物事が認識できるようになったことに
安堵しつつ、時間が飛んだような感覚、
時系列の認識が切り離されたような感覚、
でも確かにある不快な症状。
この症状が発現してから1年後には、
この症状が不快過ぎて、夕方には
いつも抑うつ(一時的に気分が落ち込む)
症状が出るようになった。
昼食を抜けばいいと思って、何度も
抜いたことがあるが、昼食後の症状は
出ない代わりに、ひどく力が抜けたりして、
低血糖のような症状が出る。
結局、その状態も昼食後と同じくらい
不快なので、一時的に食前のその症状から
逃れる為に(食べると一旦収まる)、
昼食は食べていた。
食べてもしんどい、食べなくてもしんどい。
まさに地獄。

そんなこんなで秋になって涼しくなると、
午前中のODの症状は緩和した。
冬にはかなりマシになった。
ただ、この昼食後の症状はずっと続いた。
過去問だけ演習して、
勉強とはとてもいえない勉強をした。
そして、何とか全日制の高校に入学した。
今思えばこの時から通信制に行って
おけば良かった。
「普通」がいいと思って、レールを外すのが
怖くて、私は見栄を張ったのだと思う。
それが間違いだった。

高校生編に続く。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?