応募書類提出と寒い日のコーヒー
吐く息が白い。指先はもたついて鼻の頭がつんとする。
冬だ。そして雨。
今日は、さらさら降る雨の寒い冬の日。結構嫌いじゃない。
午前中のうちに書類をまとめて封をし、郵便局へ。速達で応募書類を出した。
履歴書に職務経歴書、資格証の写し、そして小論文。あと添え状もね。
履歴書の顔写真は、ほんわかしたぼんやり顔で、緊張感足りなそうだし間抜け感が漂うけど、これが私。まあこんなもん。
今回就活して最近の履歴書状況を知る。
履歴書の性別記入は未記入でも構わない、ということ。
性別欄に※(米印)で小さくその旨が記載されているのに気づいて、時代の変化を感じた。
私が大学を卒業したときは超氷河期と言われた時代で、圧迫面接は普通だったし、就職先を選べるような空気ではなかったことを思い出す。
なんて。私の時代はね、と今と比較して羨んだり苦労を自慢したいわけではなく。
びっくりしているだけ。今の時代を就活を通して知って。
応募書類を無事に投函したら、晴れやかな気持ちになった。終わった。
とりあえず2箇所に出したので一時審査通過を祈るのみ。それまでは専門分野の本を読んで面接に備える。
軽やかな気持ちでスタバへ行った。K-POPアイドルのようなスタッフさんが髪の毛をピンクから黒にしていた。新鮮。落ち着いた同世代と思われる店員さんが、ゆとりのあるおおらかな接客をしてくれた。つられて私の口角が上がる。
中途半端な時間だったので、フードも頼む。きのこのキーマカレーのトルティーヤ。はふはふして小さく齧る。大豆ミートかな、コクはあるけどしつこくなくて軽い。カレーなのにあんまり油分強めじゃなくてコーヒーに合う。
あついコーヒーを飲んで、ぼんやりした。
私が書いたものを採用担当の方が目を通す。
あの小論文を読む。
職務経歴書の自己PRを読む。
想像すると、ちょっとだけ、嬉しくて、ちょっぴり、照れる。
一次審査を通過したら、二時審査の面接官が更に読むってことなのかな。
あれを、たくさんの人に読んでもらいたくて、でもって、面接であの文章について興味を持って質問してもらいたくて、図々しいのだけれどちょっとそわそわする。
スタバのショーケースに、アールグレイスコーンが並んでいて、心が動く。
そして、隣の席の女性客はワッフルにホイップを添えて食べている。
なんて美味しそうに食べるんだ。気持ちがまるくなる。
今日の夕飯は、他人丼。玉ねぎ多めでふわっと仕上げたい。卵とじは寒い日に合うと勝手に思っている。大根スープとほうれん草のおひたし、きのこのグリルに塩ぱらりとしたのも食べよう。
明日の朝はシャウエッセンと目玉焼き。白いご飯にぽんぽんとバウンドさせて、ぱくつきたい。ちょぴ、っとシャウにケチャップをつけたい。
美味しいはとても強い。
文章は時に食べ物のように強くて、雨のように美しい。
私の小論文もそうであれ。受かる文章かどうかは別として。
履歴書の顔写真の下の方。
大学時代から変えていないメールアドレスがあまりに時代遅れでキャピっててばかっぽい。
平和顔の証明写真と合わせて、それは堅い履歴書のアクセント。