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坂本龍一「音を視る時を聴く」、居酒屋だるま
土曜日夕方の会場はとても混んでいた。入場まで60分待ち。さすが教授、大人気!と納得しつつも列の長さに驚く。
東京都現代美術館「坂本龍一 | 音を視る 時を聴く | 展覧会」を観に行ってきた。
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小腹が空いて喉も渇いていたので、ひとまずいつものカフェへ。
ソフトクリームってたまに食べたくなる。
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刺さっているブラウニーがなかなか美味しい。
程よく満たされたところで、早速展示へ。
坂本龍一の「音を視る、時を聴く」ことは、鑑賞者の目と耳を開きながら、心を揺さぶり、従来の音楽鑑賞や美術鑑賞とは異なる体験を生み出します。坂本が追求し続けた「音を空間に設置する」という芸術的挑戦と、「時間とは何か」という深い問いかけは、時代や空間を超えて、私たちに新たな視座をもたらし、創造と体験の地平を開き続けてくれることでしょう。
坂本龍一について、私はそこまで詳しくない。彼の音楽の特別なファンというわけでもない。「すごい才能の持ち主で、それを自分でも理解しフル活用している人」と認識していた。格好いいスタイリッシュな紳士、とも思っていた。
坂本龍一のインタビューや活動を追うようになったのは、彼のがん再発以降のこと。私のがん治療ともちょうど重なっていた。
それまで、遠くに感じていた坂本龍一という人間が、病を通じて「近所のおじさん」くらいの近さに感じた。
がんの再発に驚き、打ちのめされ、もがいて、怒っていた時期のことをインタビュー記事で読んだ。その正直な感情の表出に感動した。生きたい、諦めたくない、という心がそのまま訴えかけてくるような良い文章だった。
私もがんばろうかな、と思えた。
おんなじ治療をしたのかな、あの検査もこの検査もしたんだろうな、あの気持ちもこの気持ちももしかすると同じように感じたのかもしれない、と勝手に仲間意識を持った。「しんどい」「苦しい」「痛い」を分かる、ということは、これほどまでに心を動かすのか、と今振り返ると自分のことながら驚く。
その坂本龍一の展示。楽しみにしていた。
ちょっと不穏で危険でロマンチック。透き通った寒い冬の空、もしくは冷たくどこまでも広い海のような世界。霜柱をパリッと踏み歩くような繊細さと、小さな破片のような鋭さ。ちょっとゆっくり世界観に浸ってぼーっとしていたら、人がどんどん押し寄せてハッとしてジリジリと歩を進める。
ゆっくり楽しめないのは残念だけれど仕方ないし、大盛況なのは良いこと。願いが叶うなら、もう一度行ってゆっくりあの世界観に浸りたい。
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日差しが入って、どこかノスタルジックな印象。
センスの良いおうちだこと。
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粒だったメロディというより、流れる、という感じ。
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平日だったらもう少し空いているのかな。土日祝日に行く方は、混雑を覚悟して行った方が良さそう。
坂本龍一。色気のあるアンニュイな人。おしゃれメガネのセンスの良いおじさま。
音楽を視る、時を聴く。
それは確かに心地の良い空間だった。
美術館を出て、はらぺこの私たちが向かったのは居酒屋「だるま」。
ここ、大好きで、東京都現代美術館を訪れたときはセットで来たい場所。
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だるまのお皿がかわいい。
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アジフライがあったらなあと、必死でメニューを見渡したがなかった。
ハムカツは絶対頼む。そして、マカロニチーズは次もきっと頼む。
見出し画像はコロッケ。さっくさくのホクホク。グリーンピースやコーン入りのポテトコロッケ。からしがついているのが良いね。
美術館に行くと、大概、私の心は高い位置で平坦になる。楽しい、素晴らしい、美しいとか、自分の感覚が研ぎ澄まされて高揚していく。感受性のアンテナが上に伸びて広がる。エネルギーを受け止めて内に入れ、次に放出したくなる。自分の感情を言葉で、ファッションで、行動で。
この一連の流れは私にとって欠かせない時間。しあわせになる時間。
自分の繊細な感受性(必死で前向きな言葉に言い換えている)は時に私を追い込み、人間関係を複雑にし、健康度を不安定にする。
一方で、アートや文学や音楽、日常にある可愛くてきれいな風景をビビッと受け止めてエネルギーに変えてくれる。
悪いことばかりじゃないな。というか、良いことの方が多くすればいいだけだな。
だから、たくさん出かけ、たくさん読んで、たくさん聴きたい。食べることだけは、腸閉塞の心配があるから、適度に、ね。
さて。明日もしっかり運動して汗をかこう。
明日は週1のドトールモーニングの日だ。楽しみ。