小学六年生の時の冤罪事件
小6のある日、クラスの中で盗難事件が起きた。
Nと言う子の千円が無くなった。
そこで放課後犯人探しが始まった。
担任は一人ひとりに話を聞こうともせず、Nの話だけを鵜呑みにした。
私は千円の事なんか全く知らなかったが、
今日千円を持っているのを知っていたのは私だけだとNが担任に伝えたのだ。
Nは家柄も良く勉強ができて優等生だった。
私の家と近所だったので登下校も一緒でよく一緒に遊んでいた。
担任はクラス全員の前で「犯人はいつもNと一緒に遊んでいて家も近くて一番仲良しの人間だ」と言った。
結局、担任は犯人は私だと決めつけて勝手に終わりにしたのだ。
あの時本当は犯人なんていなかった。
あれはNの狂言だとだいぶ経ってから私は気づいた。
私は当時走るのが速くて静岡県内でも短距離走は1~2位で、スポーツテストもいつも校内で1番だったので「速いね!」「凄いね!」と言われて何処に行っても目立つ存在だった。
Nはそれが面白くなかったし、気に入らなかったのだろう。
普段お互いの家に遊びに行ったり来たりして仲良しだと思っていた私はNのそんな気持ちに全く気づかなかった。
Nは私を盗みの犯人にして、私がみんなに嫌われるように仕組んだのだ。
Nのやった事も決して許される事ではないが、何より一番悲しかったのは担任が私の話を聞こうともしなかった事だ。
優等生で家柄も良い生徒の話だけは聞くが、家柄や父親の職業や成績も大して良くない生徒の話は聞いてもくれないと言う態度だった。
ちょうどその頃父が寿司屋を母一人に任せてヤクザの道に入っていった頃だったので、家庭の中も揉めていて心が不安定な時期だった。
学校の先生(担任)と言うのは何かあれば自分の体を張ってでも生徒を守ってくれる頼りになる存在だと勝手に思っていた私の心は見事に砕かれた。
学校にいても落ち着かず家に帰っても自分の居場所が見つからなくなって私は12才にして人生の迷路に入っていた。
(続く)