満月まで3日という深夜、胸に小さな黒い文字で
「尋ね人」と書かれた、金色の満月色の長方形のバッジを付けた男とすれ違った。
誰かに探してもらうのを待っているのだろうか。
時折周囲を気にしてみたり、空を見上げて立ちつくしてみたり、している。
彼は僕の視線に気付いたらしく、一瞬目が合って軽い会釈をされ、そして雑踏の中に紛れて行った。
約束の場所のガラス扉に手をかけて驚いた。
いつの間にか彼が付けていたものと同じバッジが付いている自分がガラス扉に映っていた。
小さな黒い文字で「尋ね人」と書かれた、金色の満月色の長方形のバッジを僕が付けていた。