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それはどこかから聞こえてくるもの
「貴女の正義と、貴女の愛情で、どうかぼくを裁かないで下さい」
そういう手紙を置いて、ぼくは再び出てゆくことにした。
「大丈夫、ぼくは死んだりしません。貴女がその細胞の全てを使って生み出したぼくなので、それを自分の手でつぶすことはしません。これは、ぼくのぼくだけの決意です。この時点で、貴女と貴女の細胞からはもうぼくは、脱出したことになります。少なくとも、ぼくはそう思っているし、ぼくのそれはくどいようですが、ぼくだけのものです」
頭の中に、書かなかった言葉が繰り返し繰り返し流れていた。
その度に、ぼくの足は早くなりその度にぼくの気持ちは、荒んでいった。このことは、ごまかしてはいけない、そう決めながら歩いた。