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『ボッコちゃん』の読み聞かせで

息子が小学生だった頃、小学校にボランティアで本の読み聞かせに行っていた。
朝8時10分〜8時20分に予め決められたクラスに行き、絵本や本を読み聞かせする活動だ。
どんな本を読むのかは自由だった。

6年生を担当する際に多く読んだのが
星新一の『ボッコちゃん』だ。


なぜ絵本でなく小説かといえば、私自身が中1の頃、先生の音読で聞いた『手紙』という星新一の話が印象的だったからだ。

『ボッコちゃん』は星新一の中でも大好きな話のひとつだ。短く意表をつく話なので、読み聞かせに良いと思ったが、ラストが不穏すぎる。小学生に読み聞かせてよいか毎回少し迷った。


だから子どもたちに反応があれば嬉しい気分になるが、反応が全くないときは途端に不安になった。
『難しかったかな?』
『読み方が早口だったかな?』
『怖いかな?』
内心バクバクしながら教室を去った。


そんなある日、知り合いの6年生の女子がいるクラスで『ボッコちゃん』を読んだ。クラスの反応もよく、ホッとしつつ帰った数日後、その子が興奮気味にこう教えてくれた。
「すごく面白かったよ!」
「ウチのクラスで星新一が流行っててね!」
「図書室で星新一借りようと思っても、みんな借りられちゃってるんだ。ウチのクラスの子に」

それは本当に嬉しい言葉で、今まで読み聞かせをしてきてよかった!と心から思った。


小学生に星新一の本の面白さを紹介できた、という私の『誰かの役にたった経験』なのだが。





自分の行動が人の役に立てたのかわからないときもある。自己満足なだけかなと思ったりする。
読み聞かせに関しては、そんな有難い言葉をもらえたから、役にたてたのだと思えたが。

その後10年以上、活動に参加し続けることができたのは、そんな風に時に嬉しい言葉や態度で伝えてくれる子供たちや先生方がいたからだ。

だから誰かに助けてもらったり嬉しかったりしたら、
「ありがとう」
「助かった」
と言葉にするのはそれも『誰かの役に立つ』ことに繋がるのだろう。
「面白かった」
という感想だけでも。


とはいえ、言葉にするってなかなか難しいのだけれど。

まずはnoteで、まだやった事のない『コメント』をつけてみようかな。

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