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卵巣のう腫(成熟嚢胞性奇形腫)
帝王切開中の麻酔は全身でなく局所麻酔だ。全身麻酔にすると、お腹の赤ちゃんも寝てしまうからと言われている。
だから手術中に胸から下の感覚はなくなるけど、意識はずっとある。
手術も麻酔ももちろん怖かったけど、なぜか全身麻酔にすごい恐怖を感じていたので、意識がずっとあって子供が産まれる瞬間を知れることに、少しホッとした。
息子を3人とも帝王切開で産んだが、手術時間はだんだんと長くなった。これは自分自身のお腹の癒着によるものだ。
手術から回復するとき組織を再形成するため、腸や膀胱などが癒着するそうだ。だから次に手術するときは、まずその癒着をはがしてからになる。手術すればするほど、癒着が多くなっていくのだ。
とはいえ最近の人は大丈夫。調べたら今は癒着防止剤なんてものがあるらしいから。
でも私は初耳。だからきっと私のお腹はきっと今癒着だらけだ。
だが手術時間は、圧倒的に次男の時の方が長かった。癒着が多かった3男出産よりも。
次男の帝王切開中に、
「卵巣のう腫があるよー。切っちゃうね」
と執刀医の先生に言われたからだ。
正直この時は、まだ手術が長びくのかとガッカリしたが、実はコレはかなりラッキーな事だった。
私の姉は卵巣のう腫のみで手術したし、放っておくと、卵巣のう腫はお腹の中で破裂することもあるそうだから。
ヒトの卵巣は通常2〜3センチくらいだ。そこから切除した私ののう腫はニワトリの卵くらいの大きさだったらしい。
卵巣のう腫にはいくつか種類があるが、私のは【成熟嚢胞性奇形腫】というもので、撮ってもらった写真を見ると、のう腫の中に髪の毛がごっそり入ってた。
なぜかというと、【成熟嚢胞性奇形腫】というのは、受精してないのに人体の組織を作り出しちゃうという、よくわからない代物だからだ。
“ブラックジャック”という漫画の
ピノコという女の子は、
この”成熟嚢胞性奇形腫”から
できているようだ。
妊娠してからエコーも内診も沢山してもらったが、1度も卵巣のう腫は指摘されず、手術で初めて発見された。
帝王切開って不安も負担もあるけど
そんな小さなラッキーもある。
なんて。
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