思いつきショート01「休暇」

 明日は無断欠勤してしまおうか。ふっとそんな考えに至った。
 いったい何連勤目だろう。そう考える力もなくなって久しい。すぐ近くの部署にいる同期もぼくと似た境遇らしいから何とかやってこれたが、聞けば一定の時期だけ死ぬほど忙しくて、それ以外は閑古鳥が鳴いている部署もあるらしい。同じところに勤めているのにこんなにも違うのか。まぁ役割が違うと言われればそれまでなんだけど。
  しかし、仕事をバリバリこなす上司も少ないながらも休みをもらっているらしい。その事実を知ったとき、なぜかは知らないけど急にすべてが嫌になった。だから明日は無断欠勤。文句を言われる筋合いはない。それにぼくが休めば近くの部署で四六時中働いているあいつも休みを取りやすくなるじゃないか。
 そうして、次の日。ぼくは無断欠勤をした。ぼくこと心臓が休んだせいでこの体の主は死んだ。


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