木枯らしが吹く街で…第5話
第5話:二人の時間
『えっ?なんか言った?』
私は涼介に尋ねた。
『いや…何でもない…あれだな、優菜の部屋、久しぶりだよな…』
まるで取り繕った言い方をする涼介
『用件はそれだけ?』
私は涼介の問いを無視して、そう聞いた。
『まぁ、たまにはゆっくり話そうぜ』
涼介が笑った。
『毎日話してんじゃん…』
私の対応は変わらない。
きっと、涼介も何か企みがあるとはいえ、この雰囲気に耐えられないのだろう。
『優菜は、変わんないよな…』
ぼそりと涼介が呟く
『毎日一緒にいて、急に変わったらおかしいでしょ…』
『それもそうか…』
と涼介は笑った。
『ところで、出資主さん?』
私は問いかけた
『うん?』
『詳しいルール教えてほしいんだけど?』
『ルール?』
涼介は首を傾げた。
『その恋人の真似事する時のルール』
『あー』
涼介は天井を見上げた。
『とりあえず、一緒に過ごしてくれりゃいいよ…』
涼介はそのままで、そう言った。
なんだか、涼介は淋しげな顔をしていた。
時折見せる、その顔は何を考えているのか、私にはわからなかった。
−続−
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