木枯らしが吹く街で…第3話

第3話:季節は過ぎるとも…

『にしても、優菜の家来るの久しぶりだよな』

涼介は部屋を見渡してそう言った。

『どうしたのよ、急に家に来るなんて?』

私は涼介の方を向いて、言った。

『まぁ…たまには…イイだろう』

と涼介は笑った。

『でも、あれだな、女の子の部屋って感じだな』

と涼介は部屋をもう一度見渡してそう言った。

『あのさ、私の事何だと思ってんのか知らないけど、生まれた時から女の子なんですけど?』

と少し怒り加減で言うと涼介は

『確かにそうだよな』

ともう一度笑った。

『そういや、優菜と出会って何年になるんだ?』

『10年ちょっと…かな?』

『もう、そんなに経つんだな…』

涼介は、少し淋しげな顔で言った。

『何年寄りみたいな事言ってんの?急に…』

私は少し戸惑っていた。

どこか、いつもと違う涼介に。

『ところで、用件は何なの?』

私はその戸惑いを隠すように普通に振る舞った。

『用件無かったら来たらダメかよ』

そう言って、枕を私に投げた。

『ちょ…何…』

焦る私を見て、涼介は笑っている。

『優菜…変わんねーよな』

涼介は天井を見上げた。

『はあ?何、急に』

『優菜って、ずっと優菜だなって』

天井を見上げたまま涼介はそう続けた。

『涼介もずっと涼介のまんまじゃんか』

私はそう言い返した。

『そうか?昔よりかっこよくなったけどな』

涼介はこちらを向いて言った。

『自分で言うなー』

と二人で笑いあった。

涼介は、急に真面目な顔をした。

一気に張りつめた空気に変わる。

涼介はゴクリと唾を飲み込んで

『優菜…あのさ…』

−続く−


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?