ODした(n度目)

久々にあらゆることがどうでも良くなって自暴自棄のODをした。いつもみたいな幸せになりたいな、という計画的なODではなく、ただもうすべてをどうでもよくするための衝動的なODだった。

しかし自分は致命的なミスを犯していた。薬がない。もうやめるぞと思ってストックを購入していなかったのである。

20時頃には床に付いていたにもかかわらず12時頃まで惰眠を貪った後、棒アイスを1本食べ、軽く身なりを整えて街へ繰り出した。

街は祭日でイベントが行われており、家族連れが多く見られた。対しておれはこれからODをする為の薬を買いに来ただけである。同じ人間なのに、どうしてこのような差が生まれてしまったのだろうか。

ドラッグストアに行くとブロンが値上げされていた。なんとむごいことを。1500円もあれば買えたはずのものが2000円は必要になっている。たぶんこれも、政府の施策のひとつなんだろうなと思いながら。じゃあ代わりに何が俺を救ってくれるんだよ、と苛ついた。

もう何度目かも分からない「私はこの薬を買うのは初めてです。OD?なんですか?ワタシ知らない。ゲホゲホ。」というポーズをとって、レジに並ぶ。もちろん、医薬品説明はいりませんの札を持ってだ。本当はこの札を持っていてもブロンは説明が必要なので無駄でしかないのだが、あくまでポーズが重要である。しかし、ドラスト店員も俺の左腕にあるおびただしいリスカ跡を見れば、いともたやすくOD目的であるとわかることだろう。まことに滑稽である。

死んだ顔でふらふらと帰路に着く。途中で男子大学生ふたりが並んで歩いているのが見えた。俺にもあんな青春があったはずだった。そのはずだったのに、どうしてこうなってしまったんだろう?俺がなにか悪いことをしたんだろうか?全てか?生まれてから今までの全てが悪かったんだろうか?

家に帰ってきて、大量の薬を水で胃に落とし込んだ。飲むとか飲まないとかそういう話ではなく。もはや作業だった。薬に味も何も無いだけ、大食い選手権よりは幾分マシだななんてぼやけてきた頭で考えた。それだけだった。

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