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「売らない店」


町の片隅に、奇妙な雑貨店があった。

名前はない。

看板もない。

ただ、小さな木の扉がひっそりと開かれているだけ。

噂によると、その店では「売ること」を目的としていないらしい。



ある日、青年・陽斗(はると)は、ふとしたきっかけでその店を訪れた。

店主は物静かな中年の女性、美桜(みお)という名だった。

「いらっしゃいませ。でも、ここはただの雑貨店ではないのよ。」

店内には、美しく磨かれた木のカトラリー、手編みのブランケット、温かみのある陶器などが並んでいた。

「これ、買えますか?」

陽斗が尋ねると、美桜は首を横に振った。

「ここでは物を『売る』のではなく、『誰かのために選ぶ』のよ。」


陽斗は最初、その仕組みが理解できなかった。

だが、何度か訪れるうちに気づいた。

美桜は客の話をじっくり聞き、本当にその人が必要としているものだけを譲るのだった。

ある日、泣きそうな顔をした女性が店を訪れた。

「大切な人に贈るものを探しているんです。でも、何を選べばいいかわからなくて…」

美桜は静かに微笑み、店の奥から小さな手作りのノートを取り出した。


「あなたの言葉が、一番の贈り物になるわ。」


女性はそのノートを受け取り、涙ぐんだ。


「ありがとうございます。お金は…?」

美桜は言った。


「あなたが『価値』を感じた分だけ置いていってください。」


陽斗は次第に理解し始めた。

この店は、ただ物を売る場所ではなく、「本当に価値のあるもの」を届ける場所だったのだ。

彼は自分の仕事を思い返した。

会社では毎日、利益を追求するために働いていた。

でも、それが本当に誰かのためになっているのか?

ある日、彼は美桜に尋ねた。


「どうしてこんな店を?」

美桜は遠くを見つめて答えた。


「昔、私も『売ること』ばかり考えていた。でも、それでは誰も幸せになれなかったの。だから、私は『売らない店』を作ったのよ。」


陽斗は会社を辞め、小さなカフェを開いた。

そこでは、お客さんが本当に必要なものを提供することを大切にした。

売上よりも、心地よい空間と人とのつながりを優先した。

「ここ、落ち着くね。」

客の言葉に、陽斗は微笑んだ。

かつての自分なら、売上の数字しか見ていなかった。

だが今は、目の前の人が満足してくれることが、何よりの喜びになっていた。

ある日、ふと思い立ち、美桜の店を再び訪れようとした。

だが――

そこにはもう、何もなかった。

跡形もなく消えていた。

ただ、静かな風が吹いていた。

陽斗は空を見上げた。

「売りたいなら、売るな。」

美桜の言葉が、彼の心に深く刻まれていた。


陽斗のカフェには、今日も誰かが訪れる。

それは売るための店ではなく、人々が本当に求めるものを見つける場所になっていた。

美桜の店は消えたが、その教えは彼の中で生き続けていた。


終わり



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これは、私のThreadsでの投稿内容を
お玉ちゃんのGPTs(物語工房)に読み取ってもらって書いた物語です。


✨Special Thanks✨

今回、漫画を描いてくれた
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