絵になる美しい街並みを創造する為の粉本/宇多津(うたづ)/香川県綾歌群/景観スポットの多い古街と名付けられた街並み
歴史上、13世紀から登場する宇多津は丸亀街道と金毘羅街道が交差する交通の要所だったこと、また瀬戸内に面する港町だったことから繁栄、由緒ある神社仏閣や町家、それに小社、趣のある街路や路地が今に引き継がれており、これらの集積地を宇多津では古街と名付けられている。
特に、聖通寺を含めた1社9ヶ寺、歴史的建造物といえる町家約100棟は、この古街を特色付ける重要な景観要素であり、これらによって美しい絵になる景観が保たれている。お勧めの景観スポットはやはり旧丸亀街道と金毘羅街道沿いの街並み。それも「Y」や「く」の字路、直角に曲がる「鍵曲り」路により生ずる街並景観、更には寺社や町家等により囲われたそれだ。
これらの町家は江戸時代末期から昭和初期のもの。その特色は隣家と軒を接して建ち並ぶ連棟的な町家以外に、隣家との間に板塀等を設けた町家が数多くあること。また一般的な町家の屋根は切妻造だが、宇多津では角地に面する建物や敷地の間口が広く余裕がある場合に、入母屋造にした事例が多く見られ、更には、外壁の1階の殆どは柱を見せる真壁造に、腰の部分は板張りにし、開口部の戸口には大戸を、居室部には掃き出しの出格子や腰高の出格子を設けるのが伝統的な設えで、興味深いのは町家それぞれ個性を表出する為か、この出格子を支える持ち送りに様々な彫刻を施していること。また、2階の外壁についても柱を覆った大壁造にし、軒裏も塗り込めて、設けた虫籠窓に漆喰彫刻を施した工夫も見られることだ。