絵になる美しい街並みを創造する為の粉本 /伏見(ふしみ)/京都市伏見区/酒蔵が印象に残る城下町
数ある京都の観光地の中で、伏見を位置付ければマイナーだ。他と比べればここまで足を延ばしてくれる観光客は少なく、来てくれるのは拘り派か気軽に来られる近場の人々。
従って、観光客がぞろぞろ歩く光景は少ないことから、住人に混じってゆっくりと街を探索することができる。しかし、反面観光用の駐車場も見あたらないことから、私の場合は大概、京阪電車の中書島から徒歩で目的地に向かう。
観光スポットとしては伏見桃山城や寺田屋だが、街並み景観を味わうには大手筋の南側に位置する大坂町から油掛町に掛けて建てられている酒蔵と商家で構成された街並み。
その中でも明治以降、隆盛を極めた酒造業者の歴史ある屋敷構えは大規模で間口も広く、外壁に取り付けられた親子格子や虫籠窓が昔ながらの情緒を漂わせているし、酒蔵は実用本位に造られた切妻屋根の建物ながら、黒く着色した腰板を可成り高く張り上げ、頂部に漆喰の白壁を配するパターンを採用、その単純な壁面に適度に間を取った小窓を散らすことでバランスを取っており、デザイン的処理の仕方としては一見の価値がある。この蔵の連なりが伏見の景観を決定付ける要素だと言っても過言でなく、その代表的な景観スポットである宇治川派流等の掘割に沿って建ち並ぶそれは一度見てしまうと誰の脳裏にも焼き付けられて忘れられなくなると思えるほど個性的な景観だ。
★絵になる美しい景観形成要素
#歴史 (保存修復継承)、#気候風土(地産材利用)、#構図構成(同類連続、調和と若干の変化)、#個性(酒造業者関連施設によるデザインボキャブラリーの多用)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?