絵になる美しい街並みを創造する為の粉本/琴平 (ことひら)/香川県仲多度郡/金刀比羅宮の門前町としての特色ある街並み
琴平には、彼の有名な海の守護神をお祀りする「金(こ)刀比(とひ)羅宮(らぐう)」があり、江戸時代から多くの参拝者をお迎えしてきた。この琴平に至る四国の街道は金毘羅街道と呼ばれ、高松街道、丸亀街道、多度津街道、阿波街道、伊予・土佐街道が主となり、それぞれの街道沿いに独特の街並みを形成した。
この他にある宇多津街道は琴平に到達点を持たないが、その街道の一つで、道標や燈籠、石碑、鳥居が他より残る等、その面影を今に残し、往時を偲ぶことができる。
「金刀比羅宮」の表参道はこれら街道の最終到達点。門前町として栄えたこともあって、部分的には伝統を受け継がない建て替えや改修が進み、加えて燈籠等も近代的な箱形の街灯になっている。
宇多津古街から想像するに、琴平に似合うのは建ち並ぶ昔ながらの金毘羅燈籠を前景に置き、後景に伝統的建築群を配した街並みではなかろうか。JR琴平駅の近くに立派な石燈籠が並ぶ箇所もあるが、後景に伝統的建築群が無く、せっかくの資産が十分生きていない。
しかし、よく観察すると芝居小屋の「金丸座」や表参道沿いの伝統的建築を使ったさぬきうどんの店等は琴平らしさを表出しているし、銘酒「金綾」を形成する一連の建物郡は中庭を設けて開放する等、街並み整備に貢献する再生がなされ、琴平に於けるこれからの街のあり方を示しているように見受けられた。
琴平にはまだ伝統的建築が残っているのだから、それらを拠り所に町ぐるみで、モデル事例に倣って再生に取り組めば、より美しい街並が創出できると思われる。
ただ、新たに取り付けたテントや鉄骨フレーム、不似合いな工作物や看板等をまず取り払うことが、先かも知れない。
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