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絵になる美しい街並みを創造する為の粉本/小樽(おたる)/北海道小樽市色内/木骨石造の建築が魅力的な街並み


 小樽は「砂だらけの沢」というアイヌ語の「ヲタ、オル、ナイ」が語源の港町だ。小樽市は小樽の開基を慶応元(1865)年としているが、顧みれば松前藩が領有した慶長年間(約380年前)から徐々に開発され、明治前期には道内で採炭される石炭の搬出港として、また明治後期の最盛期には日露戦争の勝利に伴って、商社・金融機関が集積する俗称「北のウオール街」として発展。往時の石造建築で構成された街並の面影が、未だに残っており、社会資産になっている。
   この石造建築の多くは木骨石造の建築。一見、純粋な石造建築に見えるが厚さ15センチほどの札幌軟石や小樽軟石と呼ばれる凝灰岩を外壁材として木造の柱梁に鎹(かすがい)で貼り付けた工法。この工法は石の産地が近隣にあり、凍害に強く、工期短縮が計れ、工事費が安かったこと、更には明治にあった入船町等の大火でも、焼け残ったことから一般化した。しかし平成4(1992)年の調査ではこれらの建物は345棟あったのが、昭和41年頃から始まった都市開発に伴って次々と解体され、その数は激減している。  
   この状況に歯止めを掛けたのが市民の保存運動。これにより昭和58年に「歴史的建造物群及び景観地区保全条例」が制定され、石造建築の保存やそれらに準じた建築の増設等に取り組んでいるが、残念ながら平成23年現在、小樽市が歴史的建造物として指定している木骨石造の建築は18棟のみ。望むらくは、これらの工法やこれらに準じて建てられた全ての建築を小樽独特の街並み景観を創出するための重要なデザイン要素として指定し、活用して欲しいものだ。

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