「簡易的な天国」

 冬の夜中、寒さに震えながら、僕は目の前に見えるある場所を向かっていた。

 ネカフェ。通称ネットカフェ。風前の灯になった命の炎を奮い立たせて、店内に入った。

 店内に入った瞬間に細胞が理解した。ここは天国だ。

 ドリンク飲み放題。漫画読み放題。充実したアミニティグッズ。そして、シャワー。

 僕は迷わずシャワールームに走った。温水の温もり。簡易的な天国を作ってくれた人。温水を出せるように生み出してくれた人。全ての感謝。ありがとう。ありがとう。

 僕は蛇口を捻った。

 数分浴びた後、僕は狂ったように眠った。

 目が覚めた時、パソコンの画面に延滞料金が記されていた。

 僕は再び、目を閉じた。

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