パーティのこと
会社の創業○周年記念パーティが開催された。10年前にもあったが、今回は約20名の参加と、前回の半数にも満たない人数での開催だった。前回はまだ資金に余裕があったのか、感染症予防対策の一環で今はあまり大人数で集まることを避けた結果なのか、どちらの意図があったのかはわからない。
さて、あらかじめ割り振られたテーブルに着席する。なんと私は社長と同じテーブル、しかも社長の隣だった。5人ずつ4つのテーブルに分かれた。今回初めて参加するアルバイトさんもおられたので、私はそういうテーブルにつきたかったな。でも今日は社長のお世話係を割り当てられたということなのだろう。お世話係というより、話しを聞く係だ。社長はお話し好きな方だからそれを黙って聞いている係、ということだ。
それにしても社長の隣の席だと料理の写真を撮りにくいな、というのが真っ先に浮かんだ感想だった。
もともとは食事の写真を撮ることに躊躇してしまう古い考え方だったのだが、最近は記録として撮るのが習慣になっている。今回のようなコース料理だと撮りたい気持ちが強い。
そうか!社長の挨拶やパーティの雰囲気を撮影するのを名目に、どさくさに紛れて料理も撮ればいいんだ、と思いついた。
会が始まると同時にカメラマンとして堂々とスマホを司会者に向ける。黙っていてくれればよいものを「撮影ありがとう」なんて言ってくる司会者(部長)。しかも動画にしたものだからやめ時がわからなくなってしまった。
社長の挨拶は5分を超えた。腕も疲れる。また、周囲の人の反応も撮れば面白いものを社長しか撮っていない。全くもってツマラナイ。
乾杯を済ませ、料理が届く。カシャ。意外と音が響いてしまった。社長の視線が留まる。
ひー。ま、いっか。記録、記録と自分を納得させる。
途中、ビンゴ大会が行われ、続々景品が吐き出される。ビンゴになった当選者は景品をもらい、一言スピーチする。ビンゴが出たら全員で歓喜の声をあげ、景品が渡されたら拍手をして大盛り上がりだった。部長の家に眠っていた貯金箱の小銭がいくら入っているかを、中身が見えない袋に移した小銭の重みでもって金額を当てるゲームがあった。一番近い金額を当てた人が景品をもらえることになっていたが、なんと長年の経理担当者が7円の誤差で優勝した。重さや音の感じ、少しのヒントから推理し答えを導き出したらしい。凄い。凄かった。
全員が盛り上がり、ワクワクドキドキを楽しみ、一言スピーチもいい感じだった。
ぜーんぶ撮影していない🙄
なぜなら私の目的は最初から料理の写真を撮ることだけだったから。
こういうところなのだ。私は最初に持っている考えで頭が凝り固まってしまい、終わってから、なぜ変化に対応できなかったのかと落ち込むのだ。毎回「あとの祭り」ばかりを経験している。
今日になって、管理部門の社員から昨日撮影していたものを共有ファイルに入れておくように言われた。
いや、そんなこと言われましても料理の写真しかないですぜ。
仕方がないから動画からスクショした司会者と社長の写真と料理の写真たちを入れておいた。撮って欲しいなら最初から言っておいておくれよ。