文庫と私
文庫本が好きだ。
好きな作家さんなら出版したての単行本も気にはなるが、重さに耐えかねて購入を断念する。
物語に集中したいので重さと大きさ、硬さはなかなかのネックになってしまう。
気になっていた本が文庫になっていたり、興味をひかれた本があればついつい買ってしまうので結構な量の本に囲まれている。
家も古いので床が抜けては困ると思い、kindleに移行しようと試みたことはあるが、古い人間なのか紙の本を所有しないと読んだ気にならない。
「所有」
これが大事なポイントなのか図書館で借りる、というのも私の気持ちを満たさない。
家が壊れては困るので購入を控え気味にしていたが、先日ふらふらと本屋さんに入ってしまった。
当たりの日で、すぐに候補の本が片手で収まらなくなった。とはいえそんな爆買いはできないので泣く泣く4冊に絞った。仕方がない。
QRコード決済にしたらキャンペーン実施中だったようでポイント還元が大きく、1冊分が返ってきた。
すごいな。
ところで私は本を読んでからその映画やドラマを見るのが好きだ。
本と映像化されたものの相違点を楽しんだり、キャスティングに感心したり物足りなさを感じたり。そういう二次的な楽しみがあることが嬉しい。もちろんがっかりすることもなくはないが、それはそれだ。
一番最初に読んだ文庫本はなんだったのだろう。
小学生の頃、両親が共働きだったため、風邪などで学校を休み少し体調が良くなった時間帯に一人で布団の中で家の本棚に並ぶ文庫本を読むのが好きだった。
もう内容は忘れてしまったけれど幸田文の「おとうと」を何度か読んだ記憶がある。あとは坪田譲治の日本昔話集(タイトルは覚えていない)も好きだった。おそらくこの辺りが一番最初に読んだ文庫本だろうと思う。
高校時代は椎名誠が好きで読み倒した。
椎名さんばかりは新刊を待ち焦がれハードカバーでもすぐさま購入して読んだ。
最初は「怪しい探検隊」シリーズが好きだった。「さらば国分寺書店のオババ」などの「昭和軽薄体」という独自のスタイルは、私の人間性形成に大きく影響していると思う。
好きすぎて大学で国文学科だった私は、椎名さんと昭和軽薄体についての卒業論文を書いた。
ちょうど大学卒業直前の2月に椎名さんの講演会があったので参加し、舞台に上がられた椎名さんに卒論の写しを1冊渡しに行ってしまった(*’ω’*)今の私には考えられない行動力。
周りは花束を渡しに行く方ばかりなのに、カバーをつけているとはいえほぼむき出しの原稿用紙の束を渡された椎名さんは恐怖と困惑を感じたことだろう。
そこから2~3か月後、椎名さんからご自身の最新作の単行本が送られてきたときは飛び上がって喜んだ。
椎名さんと一度ビールを飲みたかったな。まだ望みある?ないよね(笑)
あー、早く仕事終わって調達した本の続きを読みたいっ。(え?今、仕事中???)
#幸田文 #坪田譲治 #椎名誠