重ね着

僕は普段から私生活で関わる全ての他人に対して、一人一人に合わせて心に違う服を着せて接している。
「この人はきっと僕に対してこう思っていて、こういうキャラクターを期待しているからこの色の服を着て関わろう」と考えて一緒に居たり、はたまた違う人と関わる時にはまた心の服を着せ替えて接したりしている。
つまりは、他人に期待された人間像を演じて日々を過ごしている。きっと僕に限らずみんなそうだ。

僕は幼少期はまだ裸の心で過ごしていたと思う。特に着飾らずありのままの自分だった。
ただ、精神的に少し成長してきた頃から、人からの目線というものにすごく敏感になるタイミングがくる。心に服を着せないでいる事が原因で人間関係に悩んだりする。それが思春期だ。

このあたりで、僕は心に服を着込み始める。友人からの期待に応える為に1枚服を着て、嫌いな自分を隠す為にも1枚着て、好きな子に対してだけ見せる服を着て、、、裸の自分を出す事が悪い事な気がしてそんな事を繰り返していた。心に服をたくさん着せて大人になった気がしていた。

そのうちにどんどん重ね着を繰り返して今の年齢になる頃には心はすっかり着膨れして原型を留めていなかった。

けど、ふと「本当の自分ってどんなだっけ?」と自分の本音が見たくなった時に、全部の服を引っ剥がしてみても本体である裸の心は見つからなかった。

重ね着を繰り返してるうちに、本音が溶けてなくなっていた。自分がどうしたいかが無くなって、人にいい顔をしたいだけのつまらない人間になっていた。

けどそれに気づいたなら、心に着ていた服を断捨離しよう。そうすれば裸の心はきっとまた生まれてくる。そのときは薄手のカーディガン1枚くらいで出来るだけ過ごそう。

裸の心、多分あいみょんもおんなじ事考えてたんやろなぁ。知らんけど。



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