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御相伴衆~Escorts 第一章 第八十六話特別指令2

 ・・・まあ、そうなんだろうな。まただ。というか、かなりのあれだな。

 素国そこくからきた、お客人の、柚葉ユズハ殿か。

 どうだ、と尋ねられれば、まあ、そうなんだろうけど・・・
 その実、あまり、しっかりと、その姿すら、覚えておらず・・・
 悪くはないのかもしれないが・・・、正直、俺は、貴方の方が・・・

「俺の為に、やってくれ」

 まあ、綺麗な子には違いないが・・・少し、揶揄からかうぐらいで、いいのだろうか?

 やや、桐藤キリト様より、背が高かったと記憶する。素国人だから、大柄だが、俺よりはまだ、背が低い感じだ。性格的には、穏やかそうで、そういう意味では、抑えが効きそうだが・・・。

 指令を受けた翌週、彼の私室のクローゼットに隠れて、ハイスクールからの帰宅を待つことにした。何、驚かせれば、いいんだろう。大したことをするわけじゃない。

 ・・・あわよくば、ってとこ、なのかもしれないが。

 それまでの一週間、何気に、彼をマークしてみた。

 ・・・それまでは、桐藤様と一緒にいる、異国の客人ぐらいにしか見えなかったが。

 一応、任務でもあるということで、桐藤様と一緒の学校の行き帰りの様子や、皇宮での姿を観察させてもらった。

 改めて、見てみると、不思議な感じのする子だと思った。仕草が、ゆっくりで、わざとしているというより、習慣なのだろうと思う。常に穏やかで、目立たぬように、桐藤様の後ろを歩いている感じだ。

 桐藤様と目が合う距離に居ると、自然に、彼とも目が合う。最初、不思議そうにしていたが、何度か、目が合う内に、少し、柔らかく微笑んでいるように見えた。こんな微妙な表情をするのか・・・少し、大人っぽい子だと感じた。

 桐藤様とは違うタイプだが、改めて見ると、流石、第二皇妃様の目に留まったのが解る。ここでは、桐藤様と同じぐらいに目立っていた。柔らかい物腰と、受け答えで、女官達がさざめいている様子が見受けられた。

「綺麗な子よね」
「指が綺麗・・・見た目だけじゃなくて、動かし方とか・・・」

 素国の王室の遠縁とか聞いているが、独特の青髪と青い瞳だ。直毛の桐藤様とは対照的に、ふんわりと柔らかいウェイブのかかった髪だ。顔だけ見ていると、少し前なら、女の子のようだったのかもしれないが、やはり、背がある。・・・それに、しっかりとした男子の体躯をしている。

 ああ、その実、これは、なかなか・・・なのかもしれない・・・。

★⚔🔑

 足音が聞こえてきた。帰ってきたらしい。ドアが開いた。

「話って、何ですか?」
「いや、外では話せない」
「解りました」

 懐かしい皇華高校の制服だ。御揃いの服の二人だ。クローゼットの隙間から覗きながら、この時には、この二人が並んでいることが、眼福だと思ってみていた。まるで、アイドルのコスプレ風だ。

「鍵、かけたか?」
「あ、はい・・・で、何ですか?桐藤」
「今日も、随分、貰ってたみたいだな」
「何をですか?・・・ああ、それなら、君だって」
「ははは、お前には勝てないよ、柚葉」
「?・・・何の話ですか?そんなこと、いつものことで・・・」
「いや、君のファンは、学校だけじゃなくてね」
「え・・・?」
「穏やかに行こうじゃないか・・・」

 呼ばれた。これで、俺は出て行くことになっている。

「君の想いを遂げさせてあげるよ・・・永依可エイカ


~特別指令3につづく


御相伴衆~Escorts 第一章 第八十六話 特別指令2

 お読み頂きまして、ありがとうございます。
 今までのお話と違って、少し、短い構成になっています。

 おまけのおまけですが、柚葉エピソードの一つです。
 今では、桐藤の傍若無人な虐めが収まりましたが、柚葉が、スメラギに来た当時は、色々とあったようです。その一つのお話となります。

 桐藤には親衛隊が居て、良い事でも、悪い事でも、言う事を聞く、若い軍族の一兵卒で、組織されていたようです。永依可はその一人だったようですが・・・。

 今回も、お読み頂きまして、ありがとうございます。
 次回をお楽しみになさってください。

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