「御相伴衆~Escorts 」これまでのお話と第六十一話「次世代会議①」~隣国の王子編スタート
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スメラギの西南に、海を隔てた大陸に、ランサム王国という国がある。世界の大国の中では、新しい設立の国であり、代々、温厚なランサム王族の統治者が、その国を統べている。国民は、比較的、富裕層が多く、福祉的に進んだ、平和的で、穏やかな国家である。
南北に伸びた、大きな地形で、北には、雪の積もる、オーギュスト山脈があり、寒冷期の娯楽の地、クランツァがある。ここは、スキーなどのウインタースポーツで有名で、多くのアスリートが輩出されている。
南は温暖で、湿度の低い快適な気候の、世界有数のリゾート地である、ラウラタウンがある。観光・芸能立国の要として、世界をリードし、各種芸能分野の聖地とも言われている都市である。そこでは、四年に一度、あらゆる芸術を讃える、ランサムエンターテインメントフェスティバルが、大々的に執り行われ、各国の様々な分野のアーティストが、その表現に磨きをかけ、集結する。
その南の海沿いのラウラタウンの少し内陸に位置する、首都ランサムシティには、王宮があり、現在は、アーギュ・エレンツァ・ランサムⅣ世が統べている。既に、老齢を期し、この数年の内に、引退し、息子の第5代目に引き継がれようという頃である。
対して、このスメラギ皇国は、その小さな地形を利用した、山々の斜面に位置している。国は、独裁体制を取り、国民はそれぞれの立場での等級に分類されていた。
皇帝一族をトップに、政府関係者、軍族を中心とする貴族階級、その下には、唯一の原資である石油産業に関わる者、また、皇宮御用達の食品、服飾などの従事者等の富裕層が位置し、これを除く、以下の90%の国民は、各産業において、重税を課せられ、搾取されていた。
皇宮を中心に、その住みわけされた地域は、一目瞭然で、下に下がる程、位の低い者たちの居留となっている。国民の権利や人権を顧みない、その古い体制に、近隣各国が、眉を顰め、介入と支援の必要性を唱えている、という現状だった。
そのような、北の大陸の、極西南端の小さな、このスメラギ皇国という国に対し、唯一、正式に、国交を保っているのが、海を隔て、南西に位置する、その大国、ランサム王国であった。
この度、次世代の国王となる王太子である、アーギュ・アルゴス王子が、非公式に来皇し、皇宮に招かれることとなった。非公式とはいえ、ただの物見遊山の筈はなく、水面下で進んでいる政治的な目論見が、双方の国にあるのは、当然の事である。
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アーギュ王子は25歳。歴代の王と同様に、ランサム王族の特徴である、大柄の体躯の、濡烏の艶やかな、大きなウェーヴの髪が肩まで伸びた、青緑の瞳の丹精な美男子だった。当然の事ながら、スメラギ皇帝並びに、第二皇妃は、心から歓待し、贅を尽くして、この王子を迎えた。
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