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匠チューニングの『業』。元カノが別人になって帰ってきた KZ PR3

こんにちは。あら50りっぷです。

2023年後期に発売された『KZ PR3』は、KZのお家芸とも言える10mmダイナミックドライバーの代わりに、大型の13.2mm平面駆動ドライバー×1基を採用した新設計イヤホンで、結論から先に言ってしまえば、初代PR1の発売から続くPRシリーズの集大成と言っても過言ではないモデルです。

KZの平面磁気ドライバーPRシリーズの集大成ともいえるPR3


実は昨年3月に、すでにPR1 Proを聴いたときに平面駆動ドライバーの旨味は十分に味わえたと思っていました。というのも、PR1 Proが発売された時期以前に、「PR1」「PR1 Balance」「PR1 HiFi Edition」と立て続けにリリースされた「有料ベータ」シリーズ(まさにそうだよね)の最終到達点として、ユーザーのニーズをつきつめたものとして完成させた経緯があったからです。他のレビューもそれに準じるものでした。以下はボク自身のレビュー記事です。

* * * * *

では PR1 Proの音に満足したのかといえば…

ボクは正直 PR1 Proの音が好きではありません。その証拠に、購入後 PR1 Proを外へ持ち出す機会はほぼありませんでした。理由としては、

1 大型13.2mmでも、平面駆動ドライバーの弱点である低域(ベース/サブベース)の量感が想像以上に薄かったこと

2 高域はクリアだが刺激的、中音域(ボーカル帯)はやや凹んで薄っぺらいバランスに感じたこと

3 シリーズを通じてインピーダンスが高く、鳴らし切るにはアンプパワーが必要でスマホ直挿しでは十分な音量がとりにくいこと

フェイスプレートのデザインはPR1 ProよりPR1 HiFiに近い。金のボルトがかなりカッコいい
シリーズのどれもがボディー厚があるものの、装着感はスムーズ

PR1 Proの後継機となったPR2には期待が集まりましたが、PR2は外部の某有名チューナーが音質決定に関わり、PR1 Proよりも高域が結構マイルドに抑えられてしまったということで購入を断念しました。

もう平面駆動イヤホンを買うことはないだろうと諦めていたところ、満を持してPR3の発売があったわけです。触手が動かないわけがありません。しかも前評判によれば、PR2とは異なるKZらしいドンシャリチューニングに戻り、高域のクリアさも戻ってバランスがよくなったというので期待も膨らみます。AliExpress の年末セールで3,800円で購入しました。

13.2mmの平面駆動ドライバーが外側から丸見え。結構巨大である

音質について
ああ、成功ですね。一聴しただけでこれは「大好き」な音です。。。PR1 Pro とは似ているようで、まるで別人ですね!

PR1 Proで刺さるほど攻撃的だった高域は、刺さらないギリギリのところでまとめられています(PR1 Proの場合は銀メッキ線へのリケーブルやイヤピの相性によって刺さりまくっていた)。音のヌケは相変わらず抜群に良く、音場の広がりはPR1 Pro同様に感じたので、PR3 はPR2よりむしろPR1 Proに近いチューニングなのでしょう。

PR1 Proで凹んで薄く感じた中域も、ボーカルがしっかり全面に出るようになり、平面駆動ドライバーによる歪みのないはっきり分離した音で、臨場感のあるステージに没入することができます。とにかくスッキリ気持ちよく、天井まで突き抜けていく、明るくて元気なサウンドです。

低域(ベース/サブベース)については、残念ながらまだ弱ドンシャリを抜け出せていませんが、シリーズ中ではPR3が一番低域の量感がいいと思います。中低域の量感とともにミッドベースもしっかり音圧が感じられるようになりました。純度の高い銅線へのリケーブルでさらにメリハリを上げ、イヤピの組み合わせ次第で中ドンシャリくらいまでは仕上げることが可能でしょう。

インピーダンスはまだ高いままなので、PR1シリーズに比べれば音量は取りやすくなったものの、しっかりした出力パワーのあるDAC やDAPが必須です。とはいえ、今では2,000円以下でも簡易ドングルDACを手に入れられるので、スマホに接続してPR3をつなげれば60%程度のボリュームで十分な音量が得られます。ついにお気に入りリストに平面駆動ドライバーのイヤホンが一つ加わりました!

PR3とnicehckの16芯銀メッキケーブルC16-4はかなり相性がいい


リケーブルにはKZシリーズとなかなか相性が良く、高域の攻撃性の低いnicehckの16芯銀メッキケーブル C16-4を選びましたが、AliExpressで2,000円で流通している安価なケーブルながら、全音域にメリハリが加わってリケーブル効果は絶大です。この軽量なケーブルは線材も素材もかなり柔らかいので巻き癖がつきにくく、日常の取り扱いがとても便利です。この他にも Jialaiの単結晶純銅線などがオススメです。くれぐれも高域ブーストの激しい純銀線への交換は避けるように注意してください。

KZシリーズに相性の良いnicehck C16-4ケーブルは何本もストックしている

それでもな注意点
高域が刺激的だった PR1 Proと比べればずいぶん良くなったとはいえ、イヤピに開放度の高い Sedna Earfitlight Shortなどを装着すると強い刺さりを感じることがありました。そこで今期常用して気に入ったAudio-technicaのfinefitイヤピに変更してみました。

Audio-technicaのfinefitイヤピは高域の刺さりを抑えてくれる
耳に深めに装着するタイプで遮音性も高い。装着ストレスがないのも良い

高域の刺激性がわずかに抑えられてベストバランスに調整できました。開口穴が狭いこのイヤピは低域増幅効果もあるので、ベースの量感も若干持ち上げられ、平面駆動ドライバーと相性がいいイヤピかもしれません。売価も超安いですし、Amazonで簡単に手に入れられるのでオススメですよ。

他に手持ちのイヤピの中ではSednaEarfit MAXが、開口穴が大きい割には独自のフィルターが追加されているおかげで高域がいくぶんマイルドになり、刺さり対策はかなりアップしました。こちらもありですね。参考までに。

SednaEarfit MAXはさらに低域がブーストされていい感じ


渋い鉄色のフェイスプレートと鈍い輝きの銀メッキケーブルがよく似合う

AliExpressで購入の場合
【KZ PR3】

https://ja.aliexpress.com/item/1005006239000608.html?spm=a2g0o.order_list.order_list_main.17.10c4585aY7yVlR&gatewayAdapt=glo2jpn

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