信州旅〜白州蒸留所見学〜
はじめに
みなさんこんにちは。先日、山梨県北杜市にあるサントリーさんの白州蒸留所の見学ツアーに行って参りました。ウィスキーにはまり約1年。毎月抽選に申し込みようやく「ものづくりツアー」に当選しました。今回はその蒸留所見学の感想を綴っていきたいと思います。
白州蒸留所とは?
まず白州蒸留所について簡単に説明したいと思います。白州蒸留所とはサントリーが設立したウィスキーの製造工場です。サントリーは日本初の蒸留所である山崎蒸留所を1923年に設立。そして山崎蒸留所設立から50年後となる1973年にサントリーとしては2拠点目となる、白州蒸留所を山梨県北杜市に設立します。敷地面積は82万5000平方メートルと日本の蒸留所としては最大で、周囲を森林で囲われていることから「森の蒸留所」と称されています。この蒸留所で製造されているウィスキーである「白州」はフレッシュでさわやかな味わいから日本国内に止まらず世界から高評価を得ており、日本を代表するウィスキーの1つとなっています。
白州蒸留所へ
・移動
・岡山〜名古屋
まず白州蒸留所までの道のりです。金曜日の夜。この日は仕事を終え、夜行バスに乗り込み名古屋まで移動です。移動手段はどうしようかと色々考えましたが、見学の予約時間や予算的な面を総合的に判断し夜行バスを選択しました。夜行バスに乗るのはおそらく13年ぶりぐらいです。私はバスや新幹線などで寝るのが苦手で、夜行バスはずっと避けていましたが、今回はそうも言ってられず。ネックピローやアイマスク、耳栓、そして寝付け酒と万全の準備の元バスに乗り込みました。色々準備したおかげか、熟睡とは流石にいきませんでしたが思ったよりも寝られました。少し夜行バスの苦手意識が和らぎました。
・名古屋駅~塩尻駅
バスに揺られ、早朝に名古屋に到着です。ここからは電車で白州蒸留所の最寄り駅である「小淵沢駅」を目指します。まず、名古屋駅から特急しなのに乗り、長野県の塩尻駅へ約2時間かけて移動です。愛知~岐阜~長野と北上していくのですが、長野県に入る手前くらいからだんだんと雪が積もっている地域に!すごい積もっているという訳ではないものの、岡山南部では雪とは無縁の生活なので、雪が積もっているのを見るだけでテンションが上がります。そんな景色を眺めながら塩尻駅に到着です。
・塩尻駅~小淵沢駅
塩尻駅に降りると、寒かったです。ただ、もっと厳しい寒さを覚悟してましたので、思った程ではなかったです。塩尻駅周辺ではワインを押しているらしく、駅のホームにぶどう園があったり、駅構内にワインが楽しめるバーなどもあるようでした。時間があれば少し散策もしてみたったです。塩尻駅からは特急あずさに乗り換え小淵沢駅まで約40分ほどかけ移動します。
・小淵沢駅~白州蒸留所
最寄り駅である小淵沢駅に着くと、ここからは白州蒸留所までシャトルバスで移動です。1時間に1度くらいのペースで無料でシャトルバスが運行しているので、公共交通機関を利用する際に非常に助かります。駅に到着してバスの発車時間まで5分ほどしかなかったので、急いで乗車です。小淵沢駅から白州蒸留所までは約10分ほどで到着です。
・白州蒸留所到着
蒸留所到着後、まずビジターセンターにて受付となります。見学ツアーの予約確認と20歳以上であるか、車を運転するかどうかの確認を行い、それに伴って色分けされたネックストラップを貰います。「成人済み、飲酒可」が緑、「成人済み、飲酒不可」が赤、「未成年、飲酒不可」が黄色と、このネックストラップの色でスタッフの方が施設内でのお酒の提供や購入の可否を判断されているようです。私はもちろん緑のネックストラップを受け取りいざ入場です。
ビジターセンター通過後は、見学エリアやショップまで、5分程の道のりを歩いていきます。
ビジターセンターを出てすぐにバードブリッジという橋を渡ります。
この日は快晴で橋の上からは八ヶ岳を眺めることも出来ました。
バードブリッジを渡った後は、バードサンクチュアリという区域を抜けていきます。
白州蒸留所は森林公園の中に蒸留施設があるといった感じで、森林保全や愛鳥活動にも力を入れています。
年間50種類もの野鳥がやってくるそうで、木々のざわめきや野鳥のさえずりに耳を傾けながらの道中はとても気持ちのよい空間でした。
・見学施設
バードサンクチュアリを抜けた後はいよいよ施設が見えて来ます。
入場者が立ち入れる施設としては、
「ウィスキー博物館」
ウイスキーにまつわる資料が展示されていたり、サントリーウイスキーの歴史や白州の森の成り立ちなどを解説・展示しています。
「セントラルハウス」
ウィスキーのテイスティングラウンジやお土産ショップ、休憩スペースなどがあります。
「白州テラス」
食事やお酒が飲めるレストラン
この3施設がメインとなります。
・見学ツアー
そして、いよいよ見学ツアーです。
白州蒸留所のツアーは無料コースと有料コースとあり、すべて予約制となっています。
有料コースは参加費1人3,000円の「白州蒸留所ものづくりツアー」と参加費1人10,000円の「白州蒸留所ものづくりツアープレステージ」の2種類です。
私が今回参加するのは参加費3,000円の「白州蒸留所ものづくりツアー」です。
約90分間のツアーで、製造工程の見学、試飲、お土産が付いています。
ツアー参加者はまず、ウィスキー博物館にて集合となります。
私が参加した回では約20人程の方がいらっしゃいました。
まずは、モニターで簡単な注意事項やツアーの説明を受けた後、蒸留施設までバスでの移動です。
施設に入ると麦の香りが一気に漂ってきます。
施設内では最初にウィスキーの製造工程について簡単に説明をしてもらえます。
原料である麦の発芽・乾燥→仕込→発酵→蒸留→熟成→ブレンドとプロジェクションマッピングで説明が行われ、かなり分かりやすくなっていました。
原料である麦芽は泥炭で乾燥したピートタイプのものとノンピートタイプの嗅ぎ比べが出来ます。嗅ぎ比べると2つの香りが全く違っていて大変驚きました。
ピートで乾燥した麦芽は焚火をした時のようなスモーキーな香りが特徴的でした。
ここからは実際の製造現場を見学していきます。
まずは仕込です。
この工程では、細かく砕いた麦芽を南アルプスの天然水ともに仕込槽へ投入します。
麦芽中の酵素の働きで、デンプンが糖に分解された後、ゆっくりとろ過し、澄んだ麦汁をつくるそうです。
仕込槽の中も覗けるようになっており、麦の甘い香りが漂ってきます。
見学の時間帯によって香りも変わってくるそうです。
次に発酵の工程です。
ろ過した麦汁を発酵槽に移し、酵母を加えます。ここで酵母は、麦汁の糖を分解してアルコールと炭酸ガスに変え、ウイスキー特有の香味成分をもつ”もろみ”がつくられます。
発酵槽は温度管理や手入れが容易なステンレスを使用している蒸留所が多いそうですが、白州蒸留所ではあえて木桶の発酵槽を使用しています。
木桶は保温性が高く、発酵工程で乳酸菌や微生物が発酵を促すことで、特有の甘酸っぱい香りや酸味をもたらしてくれるそうです。
次は蒸留の工程です。
発酵によって生まれたもろみを銅製のポットスチルと呼ばれる蒸溜釜にて2回蒸溜(初溜・再溜)することで、アルコール濃度の高いニューポットが生み出されます。
白州蒸留所では様々な大きさや形のポットスチルを使い分け多種多様な原酒を作り分けしているそうです。たくさんのポットスチルが並ぶ様子は迫力がありました。
蒸留施設を後にしてバスで貯蔵庫へ移動します。白州蒸留所の貯蔵庫は18棟あるそうで、見学できるのはその内の1棟です。
貯蔵庫に入った瞬間にウィスキーとアルコールの香りがすごい充満していました。
ウィスキー好きには堪らない空間だと思います。
熟成の工程では蒸溜されたばかりのニューポットを樽に詰めて長時間じっくり寝かせます。
同じニューポットでも熟成させる樽の大きさや形状、材料、貯蔵庫内の保管位置など、少しの環境の変化で風味が変化します。
ウィスキーは熟成中に中身が減っていってしまいます。これを「エンジェルシェア(天使の分前)」と言います。
昔の職人が目減りしているウイスキーを見て、「これはきっと天使がこっそり飲んでいて、天使に分け前を与えているからこそ、おいしいウイスキーができ上がる」と考えたことからそう言われるようになったそうです。
実際には気温の変化などによって樽の木材が収縮する際に目に見えない程の小さな隙間ができることで、蒸散してしまうことで中身が減っていくそうです。
この貯蔵庫にて製造工程の見学は以上となり、バスでセントラルハウスに戻ります。ここからはテイスティングの時間です!
有料のツアー参加者のみが入れるバーとなっていて、とても特別感がありました。
今回のテイスティングでは白州を構成している3種類の原酒と白州NA、そして白州ハイボールを頂きました。
各原酒の特徴やテイスティングのコツ、味わいや香りの表現の仕方など丁寧に説明を受けながらテイスティングを楽しめます。
実際に飲み比べて見ると、熟成樽や麦芽による違いを確かに感じられます。
個人的にはスパニッシュオーク樽原酒が好みでした。
この3種類の原酒以外にも様々な原酒をブレンドし白州ウィスキーが生み出されます。
以上でツアーが終了となります。
・テイスティングラウンジ
見学ツアー終了後に訪れたのはセントラルハウス内にあるテイスティングラウンジです。
ここではシングルモルト白州を中心にサントリーのウィスキーを色々と試飲することができます。
白州25年、山崎25年、響30年などとても貴重なウィスキーも試飲可能です。
かなり高額なので中々手が出ませんが、他のウィスキー含め普通のバーよりもかなりお安い金額ではないでしょうか?
今回私が注文したのは、「白州熟成体感セット」と「白州蒸留所限定ウィスキー」の2種類です。
白州熟成体感セットは白州NA /白州12年/白州18年の飲み比べとなっています。
個人的には白州18年が一番好みでした。
中々飲めないウィスキーとういフィルターがかかってたかもしれませんが、熟した果物のような甘さやまろやかさなど、複雑な味わいが感じられました。
スタッフの方も忙しそうでしたが、手が空いた時にはカウンターのスタッフさんともおしゃべりしながら試飲ができ、楽しい時間を過ごせました。
・白州テラス
試飲後は白州テラスにて遅めのお昼ご飯です。
去年の9月にオープンしたばかりということで、とても綺麗なレストランでした。
事前予約も可能ですし、時間帯にもよるかと思いますが少し待てば予約なしでも食事可能です。
私も予約はしていませんでしたが、5分程で入ることができました。
私が注文したのは白州ハイボール、ソーセージの盛り合わせ、バターカレーです。
どれも少しお値段しますが、とてもクオリティーが高く美味しかったです。
ドリンクも白州を使ったここでしか味わえないカクテルなどもありました。
レストランの2階はフリースペースとなっていて、誰でも自由に出入りできます。
1階のレストランでドリンクのテイクアウトも出来るので、白州ハイボールやカクテルを飲みながら2階フリースペースで休憩なども出来ます。
・ウィスキー博物館
食事の後は見学ツアーの集合場所でもある、ウィスキー博物館を見て周りました。1階〜3階〜展望室となっています。1階はサントリーや白州蒸留所についての展示がメインです。
2階はウィスキー製造についての科学的な説明や展示がされていました。
3階はウィスキーの歴史についての展示です。
様々な歴史的な展示物や資料がありました。
このウィスキー博物館だけでも1時間以上は過ごせました。
・ショップ
最後はいよいよショップでの買い物です。
ウィスキーはもちろんのこと、グラスやコースター、樽材を使用したアイテム、文具やおつまみ、Tシャツなんかも販売していました。
シングルモルト白州については1人一本までと購入制限がありました。
日によって在庫状況は変わるらしいですが、私が訪れた日はどの白州も十分に在庫があるとのことでした。
ショップではウィスキー購入は、ツアー参加の後に購入して下さいとやたら協調されています。ツアー参加前は荷物になるからかなぐらいにしか思ってなかったのですが、実は有料ツアー参加者限定で、なんと!白州12年が定価購入可能とのこと。ツアー最後にこの説明を聞いて、ツアー前に買わなくてよかったーと安堵しました。ツアー参加したからと言って必ず購入できるわけではないようで、在庫状況によっては購入できないこともあるそうです。
私が購入した戦利品たちです。
白州12年が購入できたのは本当に嬉しかったです!まだ空けることができていませんが、何か特別な日にでも飲めたらなと思っています。
その他にもグラスにコースター、おつまみも購入しました。
最後に
白州蒸留所見学の報告は以上になります。
初めての蒸留所見学でしたが、想像以上に楽しむことが出来ました。
岡山からだと気軽に訪れることができる蒸留所ではありませんが、また行きたいなと思える素晴らしい蒸留所でした。
次はより狭き門のプレステージツアーの当選を目指していきたいと思います。
長くなりましたが、ここまで読んでくださりありがとうございました。