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作家を目指して 私の好きな作家・作品編②

「私の好きな作家・作品編」は、60年生きてきて、今までに感銘を受けた、印象深い作家や作品を投稿しています。2回目は太宰治「人間失格」です。

 太宰治は正直、好きな作家ではありません。なぜなら、芥川龍之介の作品を真似してる?と思われる小説が多い気がして、芥川龍之介を心底尊敬する私としては、共感できないのです。が、遺作「人間失格」は、自分自身の本性や過去を赤裸々に書き綴り、非常にインパクトの強い作品で、考えさせられる部分が多々、あります。

 特に印象深いのは、「自分は怒っている人間の顔に、獅子よりも鰐よりも竜よりも、もっとおそろしい動物の本性を見るのです」「人間に対して、いつも恐怖に震いおののき、また、人間としての自分の言動に、みじんも自信を持てず、(省略)ひたすら無邪気の楽天性を装い、自分はお道化かしたお変人として完成されて行きました」の文章。

 青森県の大地主の家で生まれ、頭脳明晰で特段、勉強しなくても東大生となった太宰。大勢の人がうらやむ環境に身を置きながら、上記のような心情で日々、過ごしていたのかと思うと、いたたまれない気持ちになります。繊細がゆえに、作家の才能があったのだと思いますが、心穏やかに過ごした日々は、少なかったのでしょうね。そう考えると、果たして、「裕福な家」「頭脳明晰」は幸せにつながるのでしょうか。さまざまな疑問を投げかけてくれる作品で、いつも手元に置いています。

 次は「作家を目指して 私の好きな作家・作品編③」を投稿します。

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