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膝OA者への超簡単なスクリーニングが、転倒確立を高精度に予測する

▼ 文献情報 と 抄録和訳

変形性膝関節症の高齢者を対象とした転倒者・非転倒者を識別するスクリーニングツールのクロスバリデーション

Amano, Tetsuya, Kotaro Tamari, and Nobuharu Suzuki. "Cross-Validation of a Screening Tool to Distinguish Between Fallers and Nonfallers in Community-Dwelling Older Adults With Knee Osteoarthritis." Archives of physical medicine and rehabilitation 102.4 (2021): 598-603.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[目的] 本研究では、変形性膝関節症(OA)を有する地域在住の高齢者を対象に、以前に開発した変形性膝関節症の転倒(KOAF)スクリーニングツールの転倒者と非転倒者を区別するためのクロスバリデーションを行うことを目的とした。

[方法] デザイン→横断的な調査。研究設定→独立した3つの整形外科医院。参加者→高齢の外来患者(N=86、女性71名、男性15名、平均年齢75.2±6.2歳)。主要評価項目は、過去1年以内の転倒歴に基づいて、OA患者の転倒者と非転倒者を特定することであった。転倒の個別予測因子として、性別、年齢、肥満度、Kellgren-Lawrenceグレード、患側(両側または片側の膝OA)、併存疾患の数、薬物療法、理学療法、疼痛、活動量などを調査した。参加者は、運動機能を判定するために、片足立ちテストと5回のsit-to-standテストを行った。KOAFスクリーニングツール(以下2項目を確認するのみ!!)の感度、特異度、尤度比、試験後確率は、ROC(Receiver Operating Characteristic)曲線分析を用いて算出した。

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[結果] 片足立ちテストと5回のsit-to-standテストの結果は、2群間で有意に異なっていた(P<.05)。ROC曲線分析の結果、曲線下面積は0.88(95%信頼区間、0.80-0.96、P<.001)であった。試験後の転倒確率は、KOAFスクリーニングツールの合計スコアが2点の場合は83.3%(正の尤度比、11.54)、KOAFスクリーニングツールの合計スコアが1点未満の場合は2.6%(負の尤度比、0.06)であった。

[結論] KOAFスクリーニングツールのクロスバリデーションの結果はより良好で、このスクリーニングツールが高い精度で転倒者と非転倒者を区別できることが確認された。今回の結果は、このシンプルなスクリーニングツールが臨床現場で容易に使用できることを示唆しており、理学療法評価の選択肢や理学療法プログラムの推奨を提供することで、臨床的な意思決定の助けになると考えられる。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

超簡単!3分以内には計測可能である。それで、この予測能であればかなり実用的だろう。ただし、転倒歴によって転倒・非転倒を分別しているので、前向きにどのくらいの予測能を有するのかは調査する必要があるだろう。