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生長マインドのドメイン: (2)アクションドメイン

前回は、生長マインドのマインドドメインについて説明しました。
キーポイントを振り返ります。

・ドメインには2つのマインドドメインと3つのアクションドメインがある
・『自変』とは、自分自身が動き、変化・生長できるという心の方向性
・『自信』とは、「できそうだな」という『自変』への信頼度の強さ

今回は、生長マインドのアクションドメインについて見ていきます。

▶︎アクションドメインは生長マインドをもつ『証』である

前回、2つのマインドドメインを見てきましたが、実は、これが生長マインドのすべてです。3つのアクションドメインは、「マインドドメインを持っていると結果的にこうなるよね」というものです。では、アクションドメインを明確にすることの意義は何でしょうか?

それは、以下の3つです。

①生長マインドをもつことによる利得が明らかになる
・生長マインドをもつことは、心のありよう、現実にはなんの変化も及ばない
・生長マインドによって駆動される身体が、現実に変化を及ぼす
・その生長マインドによって駆動されるアクションの特徴が望ましいものであれば、生長マインドをもつことのモチベーションとなる
②生長マインドを持っている度合いを測ることができる
・生長マインド自体は、目に見えない
・自分がどの程度生長マインドをもつのかを知ることは難しい
・アクションドメインが明確化すると、自分が生長マインドをもつ程度を測れる
③生長マインドを持っているか否かを判別することができる
・上記の計測を他者に対して行うことができる

▶︎アクションドメイン1:『没頭』

没頭:目の前の現実に全集中、没頭しきることができるという特徴

太陽の光は、暖かいものです。夏は、暑く感じます。直射日光により「太陽光の密度」を冬より大きくするからです。

スクリーンショット 2021-06-24 11.51.57

なぜ夏は暑くて冬は寒いのでしょうか」より引用

さらに太陽光の密度をあげると、新聞紙が燃えます #みんなやったことあるよね
光の当たる範囲が狭ければ狭いほど、威力が大きくなります。

生長マインドをもつ者は、これと同じ仕組みで、目の前の現実に没頭しきることができます。この場合、太陽光ではなく、注意の光によってです。

仕組みを説明します。

まず、硬直マインドと生長マインドの復習です。ざっと以下の通りでした。

硬直マインド:変わらない自分が周囲からの影響を気にしている状態
生長マインド:周囲の状況がどうであろうと自分自身は生長することができるという自信に満ちている状態

ここから、注意が向く範囲は、以下のように考えられます。

硬直マインド → 外界(外向き) + 自分自身の見られ方(内向き)
生長マインド外界(外向き)

スクリーンショット 2021-06-25 9.34.26

生長マインドには、内向きの視点がありません。どんな状況か、自分がどう見られているか、思われているかは気にしていないから。それらがどんなものであっても、「たったいまから、生長できる!」ことだけに注意を向けているクレイジー野郎なのです。

だからこそ、注意の画角を外界だけに絞り込み、虫眼鏡で新聞紙を燃やすようにして、現実に没頭し切ることができるのです!!

▶︎アクションドメイン2:『好奇』

好奇:尽きぬ外界への興味が、湧き溢れているという特徴

世界を知って自分を生長させたい!もっと、なにかおもしろいことがあるのでは?
生長マインドをもつ人は、尽きない外界への興味に湧き溢れています。

好奇は、さらに積極的要素消極的要素に二分されます。

①積極的要素
ゴリラ実験サイトSimons, 1999)に代表される、不注意の盲目という現象があります。

不注意の盲目:人が注意を払える対象領域は限られている。あるものに注意を払うと、ほかのものが見えなくなる。

逆に考えると、注意を向けた対象領域は意識下に入ってきやすいということです。この人間の機能をRAS機能と言ったりするらしいです。この視点から生長を考えてみますと、自らの生長に注意が向いている人間は、生長に関連する情報が見えやすくなるということです。すなわち、生長マインドを持っている人には、探そうとしているというより、むしろ勝手に生長を促す情報が集まってくるのです。

. 英語の勉強を一生懸命にやっている期間に、町を車で走っていると、妙に英語の看板が目に入る

②消極的要素
意識下の作業記憶領域(ワーキングメモリ)がいっぱいになると、新規の情報が入りにくくなります。
その情報量の限界は、7±2というマジカルナンバーとして知られています(Miller, 1994)。
生長マインドを持つということは、『没頭』で述べたように、注意を向ける領域が少なくて済むため、ワーキングメモリが忙殺されにくいのです。
そして、その結果、椅子取りゲームの椅子がたくさん余った状況となり、新規の情報が風通しよく入ってこれるのです。

以上、積極的要素と消極的要素の側面から、生長マインドを持つと『好奇』な特徴を示すことになります。

▶︎アクションドメイン3:『労苦』

労苦:何も苦にせず・忙殺されず、ずっと手を動かし続けることのできる特徴

大好きな動画を紹介します→僕の幸せな人生の秘訣:サム・バーンズ

サム・バーンズさんは、早老病;プロジェリア症候群という病気でした。
その病気の平均寿命は、13歳です(彼も17歳という若さで亡くなっています ※プロジェリア症候群のこれまでの最高齢が17歳)。
一見、絶望しがちですが、彼は、この動画で説明しただけで、以下のことを成し遂げています。

・体重23キロでマーチングバンドのドラムを演奏する夢を達成した [通常のドラムセットの重さでは無理]
・数々のドキュメンタリー番組に出演した
・こちらは僕の友人で 尊敬する フランシス・コリンズ アメリカ国立衛生研究所(NIH)所長と友達
・初の成功したプロジェリア治療の論文に貢献
・明日開催される高校のホームカミングデーのダンスパーティーが参加予定

そのすべてがすごいのですが、とくに最後のダンスパーティーに参加予定がすごいと思っています。
プロジェリアという病気は、見た目も独特で、サムさんも「プロジェリアを抱えてさぞかし大変でしょう?」と言われたりしたことを述べていますし、言われたりしないまでも、そう思われることは必定なのです。
そういう状況下で、あなたなら、どれだけの行動ができますか?
僕だったら、何もできなくなってしまうと思います。

僕が、こんなことをしたらどう思われるだろう?
僕は、体重が軽すぎるから、18キロもあるドラムセットを背負ってマーチングバンドなんてできるわけがない

選択可能な「できない理由」が多すぎるから、やらない方を選択すると思います。
ですが、サムさんはとっても力強く、実績を残しまくっています!!!
その秘訣をサムさんは、以下のように述べています。

「できないこと」について いつも考えている訳じゃないし
僕は ほとんどの障害に 打ち勝つことができます
どうしても できないことがあっても大丈夫 だって できることが山ほどあるから
(中略)
情熱を傾けていることを通して 「できること」に意識を向けるようにしています
時には 調整しながら 違ったやり方を 見つければ良いものもあり これらを「できる」というカテゴリーに 入れたいと思っています
将来どんな職業に就こうと 世界を変えることができると 信じています
世界を変えていく努力をすることで 僕は幸せになるでしょう
時には勇敢になることが必要ですが 、いつも簡単なわけではありません
時には尻込みしたり、へこむ日もあります
でも勇敢になることは、もともと簡単じゃないんだと気づきました
僕にとって、これが前に進んでいくための秘訣だと感じます
つまるところ、僕は自己憐憫でエネルギーを無駄にしません
一緒に過ごしたい人達に囲まれて、前に進み続けます

3【年輪】生長マインド2:個人が持つべき2つと結果的になっちゃう3つの特徴

ぜひ、動画をご覧ください。少なくとも、ぼくは泣きました。泣き、とても大きな勇気を得ました。サムさんは、世界中に、勇気を与えました。この動画に出会ってしまった人は、いつか、そんな仕事をしなければいけないと思わされます。

ちょっと脱線しましたが、サムさんは強い生長マインドを持っていました

生長マインドは、自己憐憫によるエネルギーの散逸を抑止し、全エネルギーを現実の活動に注ぐことを可能にします。

2【年輪】生長マインド2:個人が持つべき2つと結果的になっちゃう3つの特徴

ですから、生長マインドをもった人のことを、周囲から眺めると「あの人はいつ寝ているんだ?」「あの人の仕事量はやばい」ということになるわけです。
寝ていないわけではないのです、人より限られた時間で多くのことができるわけではないのです。
悩んでいる時間、何もしていない時間がないだけなのです。
ずっと手を動かし続けることができると、ひとは、大したことを成し遂げられる生き物なのです。サム・バーンズさんの生から、大いに学びました。

▶︎3つのアクションドメインと生長における役割

まとめに、3つのアクションドメインが、最初に定義した生長を構成する2つの要素である「①発見」「②実行」に対してどのような役割を持つかを図示して終わります。

4【年輪】生長マインド2:個人が持つべき2つと結果的になっちゃう3つの特徴

好奇:生長における発見を担う
労苦:生長における実行を担う
没頭:好奇、労苦の威力を最大化させる