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疼痛の47%を心理的要因が説明した。X線写真の重症度は1%だけ説明した

▼ 文献情報 と 抄録和訳

非侵襲的に治療された第一手根元変形性関節症において、心理的要因はX線写真の重症度よりも痛みと強く関連している

Hoogendam, Lisa, et al. "Psychological factors are more strongly associated with pain than radiographic severity in non-invasively treated first carpometacarpal osteoarthritis." Disability and rehabilitation 43.13 (2021): 1897-1902.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[背景] 本研究の目的は、第1手根中手関節の変形性関節症患者において、非侵襲的治療前の痛みのレベルに心理的要因がどの程度関係しているかを調べることである。

[方法] 第一手根中手関節の変形性関節症に対する非侵襲的治療開始時に、Michigan Hand Outcome Questionnaireを記入した患者(n = 255)を対象とした。心理的苦痛、痛みの破局化行動、病気の認識を測定した。X線検査では、肩甲骨骨折の有無を採点した。階層的線形回帰分析を用いて、痛みのレベルが患者の特徴、X線のスコア、心理的要因によってどの程度説明されるかを調べた。

[結果] 患者の特徴とX線スコアは,治療前の痛みの変化のわずか6%を占めた。心理学的要因をモデルに加えたところ、分散の47%を説明することができた。

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図. 階層型線形回帰モデルのステップごとの治療前のMHQ-pain(疼痛スコア)の説明された分散の増加(多重R2の増加)。

[結論] 今回の結果から、第一手根中手関節の変形性関節症患者の非侵襲的治療前の疼痛レベルには、患者の特徴やX線スコアよりも心理的要因が強く関係しており、これらの要因が症状の報告に重要な役割を果たしていることが示唆された。第一手根中手関節の変形性関節症を非侵襲的に治療した患者の治療成績にも心理的要因が影響するかどうかについては、さらなる研究が必要である。

[リハビリテーションへの影響] 痛みは第一手根中手関節の変形性関節症の患者にとって最も重要な訴えである。心理的要因は、治療前の痛みのレベルと強く関連している。痛みの破局的行動は、第一手根中手関節の変形性関節症患者における補完的治療の有望なターゲットであると思われる。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

この画像と症状の不一致は、人体の不思議を示す良い一例であり、症状の仕組みを霧中に隠す感じがあって個人的には好きな現象の1つである。腰痛や膝痛に関しても類似の報告が多くなされている。今回の研究は、「疼痛を説明するのに画像より心理的要因の方がはるかに優れていた」というものだ。

心頭を滅却すれば火もまた涼し
禅僧快川

どうやら、疼痛という症状を軽減させるためには、身体の力学的な側面を理解した上で、人間の心理の解剖学に長じ・評価し・治療するという能力が求められるようだ。これができれば、少なくとも、47%程度の疼痛は治せるということなのか・・・。