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拝啓、父上さま。電子メッセージに宿る愛

▼ 文献情報 と 抄録和訳

ソーシャルメディア・コミュニケーションと高齢者の孤独感;社会的支援と社会的接触の媒介作用について

Zhang, Kunyu, et al. "Social Media Communication and Loneliness Among Older Adults: The Mediating Roles of Social Support and Social Contact." The Gerontologist 61.6 (2021): 888-896.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[背景と目的] ソーシャルメディアを利用したコミュニケーションは、高齢者が社会的・精神的に他者とのつながりを保つための媒体となる。本研究では、地域在住の高齢者を対象に、社会的なつながりを持つソーシャルメディア・コミュニケーションと孤独感との関連を調べた。また、社会的支援と社会的接触の媒介的役割についても検討した。

[方法] 研究課題を解決するために、Health and Retirement Studyの4つのデータ(2010/2012および2014/2016)を使用した(N = 7,524)。パスモデルを推定し、ソーシャルメディアでのコミュニケーションと高齢者の孤独感との関連を検討した。また、ソーシャルメディアでのコミュニケーションと孤独感の関連が、身近な社会的つながり(子ども、他の家族、友人)からの社会的支援の認知や、社会的ネットワークのメンバーとの接触頻度(電話、対面での接触、手紙・メールの作成)によって媒介されるかどうかを検討した。

[結果] 以前の孤独感のレベルを調整した上で、ソーシャルメディアでの頻繁なコミュニケーションは、より低いレベルの孤独感と関連していた。ソーシャルメディア・コミュニケーションと孤独感の関係は、知覚された社会的支援と社会的接触によって媒介された。したがって、ソーシャルメディアでのコミュニケーションは、より高いレベルの知覚された社会的支援と社会的接触と関連しており、これらは高齢者の孤独感のレベルを下げることにつながった。

[考察と意義] 以上の結果から、ソーシャルメディアを用いたコミュニケーションは、社会的支援と社会的接触のレベルを高めることで、高齢者の孤独感を軽減するための介入として考えられることが示唆された。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

僕には父親がいる、そろそろ、後期高齢者になる。
母はいない、数年前に他界した。
僕は、他県の大学に入学したから、父親とは別居状態だ。
すなわち、高齢の父親は、『独り暮らし』、だ。

別居している父親は、ふとした時に気になる存在だ。

「いま、どうしているかな?、認知機能とか大丈夫かな?、ご飯とかちゃんと食べているかな?」

気になるし、実際、心配しているのだと思う。
しかしながら、足繁く実家に通っているか、となると、そうでもない。
とくに、いまは実家に帰れない最大級の理由が、あるだろう。
そんな感じで、
気にはなってはいるんだけど、思い切って実家に直接帰るほどの火力ではない
という状態が続いてしまう。気づくと半年とか、1年とか、あっという間に過ぎ去る。
弱火だが、時間が経過すると、グツグツと胸が煮えてくるような感覚が出てくる。

お父さん!気にしているし、何か行動したい、けれど何をしたら・・・。
そう思っていた僕には、今回の研究結果は朗報である。
電子メッセージを送ることにも、愛は宿る、絆を紡ぐ1本の糸になりうる。
ただし、頻度をあげる必要がある。
ひとり親を残し、気がかりだが何もしていない者どもよ。
さぁ、その思いをメッセージに!

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