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半腱様筋の起始部:坐骨以外にもあった

▼ 文献情報 と 抄録和訳

大腿二頭筋長頭部に存在する半腱様筋の起始部に関する形態学的研究

Farfán, Emilio, et al. "Morphological study on the origin of the semitendinosus muscle in the long head of biceps femoris." Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports 31.12 (2021): 2282-2290.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[背景・目的] ハムストリングスの損傷は、スプリント競技を行うアスリートで最も多く見られる。最も多い部位は、大腿二頭筋の長頭が半腱様筋と結合してハムストリングス結合腱を形成しているところです。解剖学の教科書では、半腱様筋の起始部は伝統的に坐骨にあり、大腿二頭筋の長頭と混同されている。しかし、この部位のすぐ遠位には、さらに半腱様筋の線維群が大腿二頭筋の内側から起始しているかもしれない。本研究の目的は、この結合の形態的特徴を分析し、ハムストリングス断裂におけるその潜在的な役割について議論することである。

[方法] 35名の大腿部に解剖学的解体を行った。この部位から得られたサンプルを切片化し、さらなる組織学的評価のためにMassonのトリクロームで染色した。

[結果] 大腿二頭筋の長頭部に由来する半腱様筋の線維群が35個すべての標本で観察された。この起始部は坐骨結節から67±12mmの位置にあり、長さは32±14mmであった。この筋繊維群の幅は10.9±5.3mm、前後軸の厚さは3.2±1.4mmであった。ペネーション角度は9.2±1.5度であった。顕微鏡検査では,両筋の筋細胞が腱組織に接触していた。大腿二頭筋の長頭部に由来しない半腱様筋の外側部分の残りの線維は、坐骨結節から直接生じていた。これらの線維はその挿入部まで筋肉質で、結合腱を形成する大腿二頭筋の腱性線維と平行に走行していた。

[結論] 半腱様筋の筋線維は一貫して大腿二頭筋の長頭の近位面から生じている.この接合部の形態的特徴は、機能的な意味を持つ。半腱様筋のベクトルの水平成分は、大腿二頭筋の短縮-伸展サイクルの間に長頭を内側に引っ張り、ハムストリングス損傷の本質的な危険因子となる可能性がある。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

学部時代の解剖学の授業中、先生がこんなことを言っていた。
「この解剖の教科書に載っている図は、5-10年前の知識を反映したものです。今や、変わっていると常に思っておいてください」
今回、学術体系の新生血管ができる瞬間を、もろに目の当たりにした。

「半腱様筋が坐骨にびっしりついている」と「多くが大腿二頭筋に付着している」とでは、ストレッチング、モビライゼーション、筋力トレーニングの考え方の屋台骨が変わってくる。
僕たちは、頭に思い描いた解剖図をマップにして、介入しているのだ。
だったら、そのマップを最新のものにする努力を怠ってはならない。

教訓。
解剖学・運動学・生理学、理学療法を語るうえでのアルファベット。
ただし、このアルファベットは、さながら地殻変動のように、漸進を続けている。
アルファベットのアップロードは漸進的に!

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