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荷重負荷の善悪 -強化と変形のあいだ- :周期的圧縮が椎間板の代謝に及ぼす影響
▼ 文献情報 と 抄録和訳
ラット尾部の全器官モデルを用いた周期的圧縮が椎間板の代謝に及ぼす影響
LePage, Emma C., et al. "Effects of cyclic compression on intervertebral disc metabolism using a whole‐organ rat tail model." Journal of Orthopaedic Research® 39.9 (2021): 1945-1954.
[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar
[背景・目的] 椎間板(IVD)変性症の発症および進行には,多くの要因が関与している。本研究では、圧縮荷重の大きさがIVDの代謝に及ぼす影響を評価することを目的とした。
[仮説] 負荷の大きさが大きくなるにつれて、炎症性および分解性のバイオマーカーの放出が有意に増加し、組織プロテオグリカン(GAG)およびコラーゲンの含有量が無負荷の対照群と比較して有意に減少するという仮説が立てられた。
[方法] Sprague Dawley系ラット6匹の尻尾から,頭側と尾側の胴体部分,軟骨終板,IVDからなるIVD whole organ functional spinal unit(FSU)(n = 36)を採取し,0.0 MPa,0.5 MPa,1.0 MPa,0.5 Hzで3日間,FSUを培養した。培養後、バイオマーカー分析のために培地を採取し、FSUの細胞外マトリックス組成を分析した。有意差は一元配置分散分析またはKruskal-Wallis検定とポストホック分析を用いて判定した。
[結果] IFN-γ,IL-6,IL-1β,MMP-8の培地濃度は,0.0MPa群に比べて0.5MPa群で有意に高かった。PGE2とTIMP-1の培地濃度は0.0MPa群に比べて1.0MPa群で有意に高く、培地のPGE2は0.5MPa群に比べて1.0MPa群で有意に高かった。培地中のGAG含量は0.0MPa群に比べて1.0MPa群で有意に高く、組織中のGAG割合は0.0MPa群に比べて0.5MPa群および1.0MPa群で有意に低かった。
[結論] これらのデータは、周期的な負荷に対する大きさに依存したIVDの炎症性および分解性の反応があり、IVDの変性に寄与している可能性を示唆している。
▼ So What?:何が面白いと感じたか?
Wolffの法則というものがある。
「高応力部分では添加が起こり、低応力部分では吸収される」
骨に加わる刺激と骨代謝に関する法則だ。実際、骨に加わるメカニカルストレスが減少すると骨は弱くなることが確認されている。
✅ Related reference
Keyak et al. Bone 44.3 (2009): 449-453. >>> doi
今回、椎間板に加わる負荷と椎間板代謝を調査したところ、ウォルフの法則の『逆』が当てはまった。
すなわち、「高応力部分では吸収(分解性の反応)が起こった」。
荷重とは、良いものなのか、悪いものなのか?
組織によって反応が違うということを、どう捉えたらいいのだろう?
骨を鍛えるときには荷重を、椎間板を守りたいときには非荷重を、処方するのだろうか?
アイントシュルツの法則が、ある。
これが鍵かもしれない。
弱い刺激をすることで神経機能を喚起し、中程度の刺激で神経機能を興奮させ、
強い刺激は神経機能を抑制し、最強度の刺激で静止する方法である。
~Wiki~
すなわち、刺激強度が鍵を握っているかもしれない。
荷重と強化 or 変形(分解)の関係性。いまのところ、真理からは遠い。
万巻を貫く1個の法則性が見つからない。
だから・・・、学び続けよう!!!課題は明らかになりつつある。
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