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個人競技はチーム競技よりオーバーユース損傷を生じやすい

▼ 文献情報 と 抄録和訳

個人スポーツおよびチームスポーツのアスリートにおけるオーバーユース損傷の有病率。メタアナリシスとGRADE勧告によるシステマティックレビュー

Franco MF, Madaleno FO, de Paula TMN, Ferreira TV, Pinto RZ, Resende RA. Prevalence of overuse injuries in athletes from individual and team sports: A systematic review with meta-analysis and GRADE recommendations. Braz J Phys Ther. 2021 Sep-Oct;25(5):500-513.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

✅ハイライト
-個人競技およびチーム競技のオーバーユース損傷の有病率を紹介している
-個人競技でのオーバーユース損傷の有病率(42.0%)は、チーム競技(33.0%)よりも高かった

[背景・目的] オーバーユース損傷は、筋骨格系への反復的な微小外傷と過負荷の累積プロセスにより、組織の損傷を引き起こす。このようなオーバーユース損傷は、長期的な悪影響を及ぼし、アスリートのパフォーマンスを低下させる可能性がある。目的は個人スポーツおよびチームスポーツにおける使いすぎによる傷害の有病率を推定すること。

[方法] 初回登録から2021年2月までのMEDLINE、EMBASE、SPORTDiscus、CINAHLでの検索とハンドサーチにより、個人スポーツおよびチームスポーツのアスリートにおけるオーバーユース損傷の有病率を調査した研究を同定した。メタアナリシスを行い、GRADEシステムで証拠の全体的な質をまとめた。本レビューはPROSPEROに登録された(CRD42019135665)。

[結果] 17件の研究が対象となり、24,704名(個人スポーツ22,748名、チームスポーツ1,956名)の参加者をプールした。個人スポーツとチームスポーツにおけるオーバーユース損傷の点有病率と期間有病率のデータが得られた。プールされた個人スポーツとチームスポーツにおけるオーバーユース損傷の期間有病率は、それぞれ42.0%(95%CI:30.0、55.0)と33.0%(95%CI:21.0、49.0)だった。また、点有病率を調査した研究も4件ありました。期間別の有病率に関する全体的なエビデンスの質は中程度であった。感度分析では、個人スポーツとチームスポーツで使用する関節が異なると、オーバーユース損傷の推定有病率が高くなる傾向があることが示唆された。

[結論] アスリート、臨床医、スポーツチーム、政策立案者は、アスリート、特に個人スポーツのアスリートにおける使いすぎによる傷害の有病率が高いことを認識する必要がある。現在の中程度の質のエビデンスでは、今後の質の高い研究が推定有病率に影響を与える可能性が高いと考えられる。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

俺たちはチームだ。でも、走るときは1人だ。
風が強く吹いている

個人競技では、以下の方程式が成り立つ。
■ 競技時間 = 当事者のプレー時間
マラソンを考えればイメージしやすい。
選手は、ピストルが鳴ってから、ゴールするまで走り続けけて止まない。

一方、チームスポーツでは、その方程式がこうなる。
■ 競技時間 > 当事者のプレー時間
野球を考えればイメージしやすい。
選手は、攻撃の場面になると、自分の打席以外の時間はベンチに座っている。

そして、精神的な負荷も違うかもしれない。
個人競技は、全権が自己に委ねられる変わりに、全結果の責任も自分にある。
チーム競技は、みんなで作り出した結果を、みんなで享受する、分散されている。

神に頼るとはなんたることだ。自らの力で自らを助けたまえ。
ベートーベン

個人事業主とサラリーマンの違いのような感覚に近いのかもしれない・・・。

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