運動後のマッサージは高齢者の筋肉痛の回復を促進する
▼ 文献情報 と 抄録和訳
マッサージは高齢者の運動誘発性筋損傷後の回復を促進する
[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar
[目的] アイシング(CWI)とマッサージが、高齢者の運動による筋損傷(EIMD)後の関節の位置感覚、バランス感覚、転倒恐怖症に対する回復技術としての効果を検討する。
[方法] 78名の高齢者男女が、ふくらはぎの筋肉に筋力トレーニングを1回行い(1RMの75%で10×4セット;3エクササイズ)、筋肉の損傷を誘発した。ダメージを与える運動の後、参加者は、ふくらはぎの筋肉に対する15分間のマッサージ、冷水(15±1℃)に下肢を15分間浸すCWI、または受動的休息のいずれかを受けた。介入は、運動プロトコルの直後と、運動後24時間、48時間、72時間に行われた。各時点で、筋肉痛、ふくらはぎの筋力、関節の位置感覚、動的バランス、姿勢の揺れ、転倒の恐怖を測定した。
[結果] EIMD後にマッサージを繰り返し行うことで、高齢者の筋肉痛が緩和され、筋力や関節の位置感覚の低下が弱まり、バランスの障害が軽減され、転倒恐怖症が改善された(P≦0.05)。しかし,CWIを繰り返し行っても,筋肉痛は緩和されたものの(P≦0.05),筋力や関節の位置感覚の低下,バランス障害,転倒恐怖の軽減には至らなかった。CWIは、筋肉痛にはわずかな効果しかなかったが、マッサージは、トレーニングをしていない高齢者のEIMD症状と、それに関連する筋力、関節位置感覚、バランス、姿勢動揺の障害を弱めた。
[考察] 筋力トレーニングを予定している高齢の運動者は、筋力トレーニング後の数日間、筋損傷の指標やバランスの回復のためにマッサージを受けることで、転倒リスクを低減することができる。
▼ So What?:何が面白いと感じたか?
介入の終了時にマッサージを盛り込んだり、運動後のセルフマッサージを指導したりすることが転倒リスクの軽減や介入効果増大につながりそう。介入後15分マッサージの時間をどう考えるか、他介入とのプライオリティが問われる。