死亡前の20年間に起こるADL障害の末期的な変化
▼ 文献情報 と 抄録和訳
障害から死へ;台湾老年長期研究からの20年にわたる追跡調査
Chiu, Ching-Ju, et al. "From Disability to Death: A 20-Year Follow-Up from the Taiwan Longitudinal Study on Aging." Clinical Interventions in Aging 16 (2021): 1813-1823.
[ハイパーリンク] DOI, Google Scholar
[背景] 本研究では、台湾の中等度から重度の障害を持つ高齢者の死亡前の障害期間に関連する要因を調査した。
[方法] 1996年に2016年以前に死亡した高齢者(65歳以上)の全国代表サンプル(n=1139)を分析し、障害の状態と死亡前の障害期間を算出した。
[結果] 台湾の高齢者が死亡する前に中等度から重度の障害を経験した期間の平均は5.53年(SD=3.15)であった。男性では、体重過多の人は普通体重の人に比べて生存年数が平均1.17年長く(βoverweight = 1.17, p < 0.05)、認知機能障害(SPMSQ ≤ 7)の人の場合は、生前に認知機能が正常だった人に比べて生存年数が平均1.70年短くなった(βcognition = - 1.70, p < 0.01)。前述の効果は年齢とは無関係であった。女性では、病気の数が生存年数に対する最も支配的な独立した相関関係であった(βdisease = - 0.34, p < 0.05)。
✅ 図. 死亡前の各時点における高齢者の障害分布
ADL障害の評価指標としてはKatz Indexを使用している。
[結論] 台湾の高齢者における死亡前の各時点での障害分布が明らかになった。死亡前10年の時点では、93%の高齢者にADL障害がなく、3つ以上のADL障害を報告したのはわずか4%であった。亡くなる6年前の時点では、平均して10%の人が3つ以上のADL障害を抱えており、亡くなる1年前の時点では、中等度から重度の障害が38%に増加していました。中等度から重度の障害を持つ人の生存年数に関連する要因には、明確な男女差が見られた。
▼ So What?:何が面白いと感じたか?
実は、過去に類似の研究を「あり」で紹介している。
死亡前10年間の末期的な変化を運動機能、ADLの側面から調査したものだった。
そのADL変化の部分だけ、図を抜粋する。
今回研究の図と照らし合わせると、どうやらADL障害の重度化は死亡前「5-6年」くらいの時期に生じるらしい。
回復期でのリハビリに従事している者から解釈すると、ADL障害を残すか否かによって死亡リスクに影響を与える可能性がある、ということだ。そして、おおよその期間は5-6年・・・。
頑張ろう!!!、そう思った。
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