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移動式脳卒中ユニット(MSU)を知っていますか?

▼ 文献情報 と 抄録和訳

移動式脳卒中ユニットにおける病院前診断

Ramanathan, Ramnath Santosh, et al. "Pre-Hospital Diagnosis in Mobile Stroke Unit." Journal of Stroke and Cerebrovascular Diseases 30.7 (2021): 105801.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[背景] 移動式脳卒中ユニット(MSU)は,急性虚血性脳卒中(AIS)に対して病院前で迅速に血栓溶解療法を行うことができることがわかっている。また,MSUはAIS以外の緊急治療を必要とする神経疾患にも遭遇する。

[方法] MSUが遭遇した連続221例の病院前診断および治療データをプロスペクティブに収集した。MSUで得られた初期臨床評価および神経画像に基づき,AIS(確定,可能性,一過性脳虚血発作),頭蓋内出血,および脳卒中模倣の可能性が高いと診断した。

[結果] 2014年7月から2015年4月まで、221名の患者がMSUで治療を受けた。78名(35%)の患者が初期臨床診断でdefinite/probable AISまたはTIAと診断され、69名(31%)がpossible AISまたはTIAと診断され、15名(7%)が頭蓋内出血を発症し、59名(27%)が脳卒中の模倣の可能性が高いと診断された。遭遇した脳卒中の模倣は、13(6%)の代謝性脳症、11(5%)の発作、9(4%)の片頭痛、3(1%)の薬物乱用、2(1%)のCNS腫瘍、3(1%)の感染性病因、3(1%)の低血糖症だった。54人(24%)の患者がMSUで非血栓溶解療法を受けていた。

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[結論] MSUの約3分の1は、頭蓋内出血や脳卒中の擬態など、最初はAISではなかった。MSUは、AIS以外の緊急の神経学的状態での病院前治療に活用できる。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

血栓溶解療法などゴールデンタイムがある治療や、急を要する治療にはうってつけのスタイルだと思った。日本でも実施しているところがある。

リハビリ領域ではあまり需要はないだろうか。「訪問リハなどは感染対策が不十分なお宅に伺うことがあるため、その部分では活躍できそう!」とも思った。