『骨盤を開かず閉じる』の徹底で、 こんなにも違う股関節外転エクササイズ
▼ 文献情報 と 抄録和訳
中殿筋が弱っている人の側臥位での股関節内転運動における股関節内転筋の活性化に及ぼすログローリングポジションの影響
Baik, Seung-Min, et al. "Effects of Log-Rolling Position on Hip-Abductor Muscle Activation During Side-Lying Hip-Abduction Exercise in Participants With Gluteus Medius Weakness." Journal of Athletic Training 56.9 (2021): 945-951.
[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar
[背景・目的] 中殿筋と大殿筋の筋力低下は、さまざまな筋骨格系の障害と関連している。しかし、側臥位での股関節外転(SHA)運動を処方する際には、対象としていない相乗効果のある筋肉の活性化を考慮する必要がある。本研究では、骨盤回旋位(ログローリングポジション)がSHA時の股関節内転筋の活動に影響を与える可能性を検討した。目的は、中殿筋の筋力が低下している参加者において、SHA時の中殿筋、大殿筋、および大腿筋膜張筋の活動に及ぼすログローリングポジションの影響を明らかにすること。
[方法] デザインは、実験室での対照研究設定大学の研究室。対象者は、臀部の筋力が低下している21名。介入方法ニュートラルポジションでの前頭面SHA(SHA-neutral)、前転ログローリングポジションでの前頭面SHA(SHA-anterior rolling)、後転ログローリングポジションでの前頭面SHA(SHA-posterior rolling)の3種類のSHAを実施した。主な評価項目表面筋電図を用いて股関節外転筋の活動を測定した。筋活動の統計的有意性を評価するために、一元的反復測定分散分析を行った。
[結果] SHA-anterior rollingは、SHA-neutral(P = 0.003、P < 0.001、それぞれ)およびSHA-posterior rolling(P < 0.001、P < 0.001、それぞれ)と比較して、中殿筋および大殿筋の活性化が大きかった。SHA-ニュートラルは、SHA-後方ローリングと比較して、大殿筋および中殿筋の活性化が大きかった(それぞれ、P < 0.001およびP = 0.001)。SHA-anteriorローリングは、SHA-neutral(P < .001)およびSHA-posteriorローリング(P < .001)と比較して、大腿筋膜張筋の活性化が少なかった。SHA-neutralでは、SHA-posterior rollingに比べて、結節点の筋膜活性化が少なかった(P < .001)。
側臥位股関節外転(SHA)運動時のログローリング条件の違いによる中殿筋、大殿筋、大腿筋膜張の筋活動の比較。略語は SHA-anterior rolling,前転位での前額面SHA,SHA-neutral,中立位での前額面SHA,SHA-posterior rolling,後転位での前額面SHA。 a. Bonferroni調整による差を示す(P < .017)。
[結論] SHA-前方ローリングは、大殿筋の弱さを持つ参加者において、大殿筋と中殿筋の活性化を増加させる一方で、大腿筋膜張筋の活性化を減少させる効果的なエクササイズであると考えられる。
▼ So What?:何が面白いと感じたか?
理論上、そうなるだろうけど、実際どうなっているのかがわかっていない。
理学療法で当たり前に行われている介入の中でも、そういうことがたくさんある。
今回の研究は、その大きな1つを明らかにした研究だ。
骨盤回旋(Log-rolling position)が特に大きな影響を与えるのが、大臀筋である。
骨盤前方回旋位のみ、活動を認めたといっていい結果。
理論通りの結果だったけど、『こんなに違うのか』ということがわかると、臨床現場での指導の熱の入り方や説明の仕方が、変わってくる。
人生はすべて実験なのだ。実験は、すればするほどいい。
エマーソン
もっともっと、実際の中に潜り込んで、真実を探す回数を増やしたい。
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