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自キャラの概念香水を作ってもらった

当方自分しか知らない自創作の過激派限界オタクである。
故にいつだって推しの供給に飢えている。

と、言う程でもない。なぜなら私は需要と供給のサイクルを自分で回せるタイプのオタクだから。さながら回し車を爆走するハムスター。推しが読みたいなら自分で書けば良いじゃない。
そもそも概念萌えするタイプでもない。歴代の推しは大抵イメージカラーやモチーフがあったがそこに拘ることは大してなかった。服にしろ文具にしろ日常の細々としたアレソレにしろ、普通に好きな色を使っていた。公式グッズの収集癖もなかった。痛バなど作ってみたかった人生である(重いし普段使いできないし缶バッチは一つあればええやろと思っている)。

だがしかし、仕事が異例の繁忙期、に何故か合わせてしまった引っ越し、重なる業務に増える残業、ポケモン新作の発売、佳境に入った自創作、減っていく睡眠時間、残業代で温まる預金通帳と今後がっつり引かれていくだろう国民保険その他諸々への不安、終わらない残業にピリピリギスギスしていく人間関係、数年に及び交際中の慢性頭痛、ストレスで増えまくる体重・・・にあり得ん程メンタルをすり減らし(私の癒しは専らラウドボーンとセイジ先生だった)、眠気覚ましに巡回していたTwitterで「概念香水」なるものを知った(SNSを巡回している辺りまだまだ元気である)。

存在自体はなんとなく知っていた。公式で販売しているキャラクターフレグランスなら昔持っていた。キリっとした爽やかさの中にほんのりとした甘みを感じる素敵な香りだった。メンズ向けだったので専らルームフレグランス代わりにシュッシュしていた。めっちゃ良い匂いがした。

嗅覚からの情報はQOLに多大に作用する。推しの香り、吸えたら多分楽しい。

一次創作に他者からの供給はほぼ見込めない。私は投稿等もしていないので猶更誰とも共有できない。イラストや動画なら自前でなんとかするが調香師の真似事はさすがに無理だ。
普段ならそれで全く問題ないし元気に狂える元気な壁打ち字書きだが、前述の通り疲れていた私は、自創作の製本作業を終わらせた記念に脱稿ハイのまま概念香水を作ってもらうことにした。

お世話になったのはScentlyさんである。

決め手はオンライン上で全て完了できること、完成品についてメッセージがついてくることである。
東京や横浜なんかまで赴いて対面で作ってもらうことも考えたが、そんな余裕は普通になかった。あと初対面の他人の前で早口オタクトークを繰り広げる未来が見えすぎて羞恥に勝てなかった。

Scentlyさんの体験レポは色んな方がいろんなところで書いていると思うので詳しくは省く。
イメージしたいキャラ・人物の性別欄に「人外」が選べたり、「年齢が外見と大きく異なる場合」について指摘があったり、セクシーレベルを入力できる辺りがオタクという生物に造詣がありすぎて興奮した。
私はどちらでもないが、腐女子や夢女子ならもっと楽しいと思う。オーダーシートの記入欄を眺めるだけでワクワクが止まらないのでぜひ一読してみてほしい。

今回作ってもらったのは自創作の主人公、の、上司を務める準主役の男である。もう面倒くさいので名前を出すが「百合原」と言う。
主人公とどちらにするか迷ったが、主人公は「できたての焼き菓子」「珈琲」「制汗剤」辺りでイメージが固まっていたので、自分でもよくわからなかった百合原の方をお願いした。

ポチポチすること小一時間。なおオーダーシートの記入内容は保存できないのでスクショなりなんなりでコピっておくことを強くお勧めする。香水が届いた時読み返したくなるので。

簡潔な受付完了メールを確認し、待つこと約二週間。発送メールが届いた翌日、帰宅するとポストに投函が!!!!

慌てず騒がず夕飯を終え風呂を終え翌日の準備も終えて開封。


か、可愛い~~~!!!

オーダーシートの記入欄の上限は999字である。理解がありすぎる。
600字くらい書き連ねていたので、「解釈のどの部分から香りを選んだのか」が分かりやすくて良い。

香水の概要についてしたためられたメッセージがこちら。


ぶっちゃけどれがどんな香りとかよう分からんがおしゃれofおしゃれなことはしっかりわかる。
素敵な緑色がオーダーシートで選んだイメージカラー由来になっているのもわかる。芸が細かい。好き。
何より、他人の解釈した推しの人物像がたまらない。これでしか得られない栄養素がある。自分でサイクルを回せるとか言ってた自分もマアいたにはいたが思考の端にすっ飛ばしておく。金と交換で出力してもらえるならもらわん選択肢がない。

ちなみに今回頼んだ「百合原」については概ねカードの通りだが、その他シートに記入した内容としては「元孤児であり、自分のような孤児がいないような街をつくりたいと考えている」「相棒(故人)の妹を大切にしている」「大事なものほど遠くに置いておきたいタイプ」「己の選択に懐疑的」「横暴さから主人公の反感を買いながらも次第に互いを信頼し振り回し振り回されるようになっていく」等がある。黒髪赤目が特徴の、冷静冷淡冷血の26歳だ。子供には甘い一面や、傍若無人な割に他人の意見もちゃんと聞き入れる素直さもあったりする。今思えば当然だが描写は物語上のポジションより性格に重きを置くべきだった。

で、本題の香りだが。

めっちゃ良い匂いする(あたりまえ体操)

繰り返すが私は概念萌えにはあんまり興味がない。加えて匂いフェチの割に鼻が馬鹿だし知識もない。ミドルノートで香る〇〇の爽やかさが・・・みたいな食レポならぬ香りレポはできない。なんでNoteにした???

でもシンプルに匂いが良い(二回目)

どちらかと言うと石鹸のような匂いやラベンダー系・シトラス系のメジャーで定番な香りを選びがちなのだが、今回のこれは自分ひとりでは絶対に選ばないしっかりめのスパイシー系。なんとなく敬遠していたがなかなか良い。
香りの変化とか正直ようわからんが、時間経過で少しずつ柔らかく落ち着いた印象になっていくのもとても良い。ふんわり上品で控えめな甘さ。好き。

ぶっちゃけ百合原は体臭薄めだと思うし香水はつけるつけないで言ったらつけない。だからこれが「百合原の推し香水」かと言われると微妙なところである。
が、全く問題なかった。
なぜ主人公ではなく彼の香水を頼んだかと言えば主人公と違って明確なイメージが湧かなかったからである。基本的に生活感の見えない人物であるので、こいつがどんな私生活を送っているのかよくわからない。生産者は私なのに。
そんな百合原の概念を内包した香水。「仕事とプライベートの二面性を持つ」「カルダモンの香り」に、「慎重で物事を客観視できる」「落ち着きあるローズウッド」。

へえ~~~~!!!!(ボタン連打)

ここで私は自分でも見えていなかった自キャラの新しい可能性を見た。
他人の解釈を通して見える推し、新しい。
百合原の内面って臆病で不器用で、でも根は優しい・・・だけじゃなくて結構過激なんだ。そりゃそうだこいつ野心家だった。自分の目標のためなら自分の心も命も全部賭けられるような、そうしてつくりあげた世界を人に明け渡せるような、私欲とエゴで地獄から這い上がったド根性野郎だった。
と、言う、可能性と気づきを得られた経験でした。
結論:めちゃくちゃ楽しい。

推し香水を吸いたい、他人の解釈を得たい創作者は勿論、自分の解釈を深めたい、自分の知らない推しを知りたい創作者にもおすすめのサービスである。

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