高嶺の花のユーモア
その日は、なんだか忙しかった。
(今日は高いアイスを食う!)
そう決意したのは、勤務終了の数時間前だった。
勤務終了後、
帰宅途中にあるコンビニで、いつもは手を出さない300円を超えるアイスを買った。
アイス一本が箱に入っている。
さすが高級アイス。
コンビニの前で箱を開けながら、
少し、罪悪感が生まれた。
(さすがに贅沢過ぎたかな……)
いつもより忙しかったとはいえ、
300円を超えるアイスを食べるに値する働きが出来ていたのかどうかは、正直疑問だ。
300円は、ちょっと豪華過ぎたかもしれない。
身の丈に合わない褒美を一口かじる。
「うんま。」
多分、声に出てた。
罪悪感も溶けるほど美味かった。
コンビニから2分も掛からない横断歩道につく頃には、棒だけになっていた。
棒まで美味かった。
赤信号を待つ間、
味のしなくなった棒に目をやった。
〘がんばる君は ファンタスティック☆〙
「フッ…。」
思わず吹き出してしまった。
絶世の美女がダジャレを言ったような、
そんな感覚だった。
美味いものを食べて笑う。
何とも満ち足りた帰り道だった。