連載小説|鏡像 2話
1話はここです↓
この技術は遊自身にも革命を起こした。
どこにいても目立つ遊にとって自分の行きたいところで過ごせる世界は幸せそのものだった。
今日とて鏡に向かい合う。
そこには本来のムスッとした姿の自身の姿が映し出されていた。こんな自分を変えたいだから
「もっと男らしくて逞しい姿に変えよっと」
そうすると理想の姿が次は映し出された。
現実を見なければ理想を見れないとは皮肉だ。
今日は、東京にでも行ってみようかな。
そうやって適当に操作してあらゆる人に出会う。
「はじめまして、私の名前はjonnyです」
「ユウです……」
たぶん、外国人だ。萎縮してしまう。
例え世界が統一されてもつい最近のことだし。
島国の日本で育ったんだ。
閉鎖的になっても仕方ないだろ。
そう考えていたら相手が
「君はコミュニティに入ってないの?どんな思想を押してるの?」
と言われた。
「私コミュニティとか好きじゃなくて。。」
「コミュニティに入ってないって?君なんのためにここに来てるの」
と呆れ口調で言われた。
宜しくないジェスチャーをされて相手はこの空間から去った。
いくらメタバースやらが進化しても所詮人間だ。
進化したのは技術だ。
人間はまだ適応出来てないのだ。
コミュニティがそんなに大事なのかよ。
そう思う、私は自然に淘汰された絶滅危惧種なのかもしれない。
毎回人に罵倒されながら鏡に向かい合い現実へ戻る。
それは、一種の悪夢を繰り返してるようにも見えた。