連載小説|鏡像 1話
私はネットで隠してることがある。
それは性別を偽ってることだ。
橋田 遊は、幼少期から何かと目立つ顔が心底嫌だった。
10代前半の彼女に向けられた目は綺麗なものばかりではなかった。
だからリアルもこうして男のフリをして生意気そうだと言われる鋭い目を伊達メガネで隠してる。
だが、10代後半にして、世界は一瞬で変わった。
産業革命ごとき革新が起きたのだ。
ある人はこの出来事と共にこう述べた
「国境のない惑星 地球 」と。
「私たち生活はどう変わったかと言うと、
AIの自動学習とともに自動翻訳機能が開発され言語という大きな壁をこえた。
すなわち、言語に依存せず趣味や価値観が合致すれば誰とでも仲良くなれた。
そうなることで世界は国単位であることが窮屈になった。
あらゆる文化が共有され、あらゆる知識が常識となった。
この惑星に住む大多数を含む生物つまり人間がネットという環境で過ごす時間は丸1日と言っても過言ではなかった。
最新気鋭の道具それは鏡だった。行きたい世界をプロジェクターのように投影され、どこへ行くか選択する。それが人類最大の発明とまで言われている」
らしい。
これは私の言葉ではなくAIが歴史を簡潔に教えてくれた、文の塊たちだ。
AIにAIの歴史などを語らせるとはただの自慢話を聞いているようだと遊は思った。