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連載小説|鏡像 3話


前回の話、下に貼ります⤵

連載小説|鏡像 2話|りん #note https://note.com/super_hawk293/n/n8a3dd9db8865


遊は群れることが大嫌いだ。

ただ、フレンドが欲しいだけだ。

信頼できる人は1人でいいのだ。

なぜ集団を造るのだろうか。

自分たちの凄さを誇示してるのだろうか。

どの道、遊には理解ができなかった。

集団に属することで優越に浸る人も。

属さないことに劣等感を感じる人も。

だが、フレンドができない所を見ると私は人間の大事な部分を捨てたのかもしれないそう思うようになってきた。
 
現実に戻ると、人からは羨望の目で見られる。

この世界がまだ人には受け入れ難い現象であると言ってるようなものだ。

鏡の世界に行くと「顔」は気にしない。

だが、鏡の外へ行けば現実なのだ。

それは遊にとっても辛いギャップだった。

この世界を利用しない世代と若者の世代で分断が起きていた。

新しい概念を受け入れるか、古きよさを取り入れるか。

世界は、そんな人間の価値やらなんやらの定義が揺らいでるようにも見えた。

そんな時に母、彩が

「遊は顔だけじゃない。優しくて、勇敢で人を見抜く洞察力があるじゃない」

 そうやって優しい言葉をかけてくれる。

 だが、厳格な父は

「最近の若者はネットばかりしてなにがしたいんだ?そこで生きててもな幸せなんか得られない」
 
仕事から帰ってきた父は綺麗に結んだネクタイを緩めながらそう言うのだった。

そんなことを言う遊の父はAIの躍進を担っている人だ。

矛盾したことを言ってるように見える。

しかし、現実で仕事をしている人はつまり、生産者か家庭を担う人なのだ。父はそれにも関わらず古臭い考えを持っていた。


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