2023-06-14T08:59-『知らない曲のスペクトラムを観る』

 今回は、少々気取った表題にしてみました。御存じの方がいらっしゃるかもしれません(竹宮ゆゆこ(2014)『知らない映画のサントラを聴く』新潮社)。本文書の内容は表題そのままです。実際にどうしたのかを模式図に示しました。部屋にあるもので何とかなりました。オーディオ的に、禁忌なことをやっている感じが何となくするのですが、ひとまず思惑通りになったので良しとしています。Spectralissimeの設定は下記の通りです。基本的には既定の設定のままです。サブディスプレイ用のXperia 8については、spacedeskによる有線接続後、PC側マルチディスプレイの設定で「表示画面を拡張する」を選びます。

Analysis > Fast 240 bands (1/24 octave)を選択
Timing > 50 fps (20 ms)を選択
Options > 10 (あるいは6) dB Scaling Options... > -60 dB Min Scaleを選択
Options > Frequency Scale x 2 (Octave)を選択
Settings > Audio Devices... > A+Bを選択

図 接続状況

 環境の作り方が下手なせいで、音楽を流していなくてもピークが出ている状況です。縦軸の下限設定を引き上げて、目に入らないようにしています。聴いてみた感覚と、大きいピークの生じ方を比べると、耳をすまさなくても分かるくらい目立つ音は、ちゃんと見えているようでした。低域については比較的キレイなピークが見えますが、高域に向かっていくと、ノイズが立ち上がってくる状況に陥っています。マイク入力の直前にノイズフィルターを挟めば少しは良くなるかなと画策しています。グランドループアイソレーター、アッテネーター、インピーダンスケーブル、といった名称の製品を狙えば良さそうです。しかし、原因がいまいち分からないため、どの製品で効果が得られるかは不明です。なお気になっている点は、配線が環状になっていることです。それに加えて、マイク音量を稼ぐアンプだけでも結構なノイズが出ているので、そこも改善の余地があります。

 本来であれば、USBヘッドホンアンプから直接、PCのマイク端子に入力したかったところです。ですが、ピークがちゃんと見えるまで音量を上げてしまうと、耳がやられてしまうことが判明しました。そこで、スペクトラム確認用の出力に関し、マイク入力の直前でノイズを呑み込めるくらい音量を稼いでしまえ、という強引な手段に訴えています。ちなみに、HUD-miniに直接つないでいるヘッドホンからは、自分の耳だとノイズを捉えられませんでした。ちゃんとした作法を伴って詳しくスペクトラムを見る機材やソフトはいくらでもあると思います。それらを購入した方が早いのかもしれませんが、手元にあるものだけで悪あがきを楽しむのも何かいいなと感じました。ブラウザで上で見ている動画音声のスペクトラムを観るのも楽しいです。

 スペクトラムを観ながら音楽を聴いていると、音だけに意識が没入する感覚があります。またなぜか、ある程度は好き嫌いに関わらず曲を聴けるようになりました。どういう曲なんだろう、に加えて、どういう音が鳴っているんだろう、という関心を持つようになったからだと思います。「このトゲトゲが倍音?とかいうやつなのかな」といった雰囲気で観ているので、専門的なことは何も分かりませんが、音をちょっと真面目に観てみることは思いの他楽しかったです。

 後日、ヘッドホンへ向かう出力を、BluetoothトランスミッターのL-ADR-Bに有線接続し、ワイヤレスヘッドホンATH-HL7BTと無線接続してみました。スペクトラムを観ながらのワイヤレス環境は一応作れました。ただし、コーデックはSBCまたはAACです。遅延もあります。他方、LDACのトランスミッターとしてはBTA30 Proが挙げられます。ですが、デジタル入出力に関してBTA30 ProとHUD-miniは、規格上接続できなさそうな雰囲気でした。また、HUD-miniでは出力先の変更スイッチがついており、デジタルで出力をしながらヘッドホンを使用することができません。LDACにすれば遅延が大きくなるはずなので、そもそも私が求める環境にならないように思われます。現状で、ひとまずは満足することとします。