(◎脇役列伝その1:藍思追(5ー2)の続き)
一行は潭州に到着した。藍曦臣と合流する前に、彼らはある花園の前を通りかかり、それが広大で立派なのに、誰も手入れをしていないようなのが気になって、中に入って見物して回った。
興味津々に花園を半分ほど回ったところで、藍思追が質問した。
「ここは蒔花女の花園でしょうか?」
蒔花とは季節に応じて咲く花期の短い花卉のこと。この後、蒔花女の花園について、思追と藍景儀との間で会話が続く。それを抜き出してみよう。
真面目でしっかり者、同年代の藍家の少年たちの中でもおそらく最も模範的だと思える思追だが、ここでは長々と蒔花女について語っている。景儀も知らないこんな話、一体どこで何を読んだものやら、雲深不知処の雰囲気から考えるとずいぶんと俗っぽい話だと思うのだが、よく覚えていて熱心な話ぶりだ。
この後、蒔花女の話に興味津々になった彼らは、この蒔花園で野宿をすることに決める。
(◎脇役列伝その1:藍思追(5ー4)へ続く)