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はじめに
アニメ『天官賜福』に関する考察をしていくにあたって、その動機のようなものを書いてみることにする。
子供の頃、家に「世界名作全集」みたいな本があって、その中の世界の伝説や昔話を載せた一冊をよく読んでいた。中でもお気に入りのお話が中国の昔話で、『サンニャンツ(多分「三娘子」)』というタイトルだったと思う。女三人分、という意味だそうだ。何せ60年近くも前の話だからうろ覚えもいいところだが、そのあらすじを少し書いてみよう。
ある日旅をしていた男が、サンニャンツと呼ばれている女の経営する宿屋へやってきた。サンニャンツはその名の通り大変に良く働く女で、宿も繁盛しているらしく、沢山のロバを飼っていた。昔はロバを沢山持っているのがお金持ちの証であったようだ。
宿の名物は蕎麦粉を使った饅頭で、その町全体でよく食べられていたが、中でも美味しいと評判なのがその宿であった。宿へ来る者は皆注文しており、男もそれを食べてみることにしたのだが、ちょっと席を外して戻ってくると、先に食べていた者が食べ終わった途端ロバに変身してしまい、裏へ連れて行かれるのを見てしまった。宿に沢山ロバがいたのはそういう訳だったのか…。
男は恐ろしくなったが、今更逃げることも注文を断ることも出来ない。そこで機転を利かし、サンニャンツに「これは別の店で買った蕎麦粉饅頭ですが、私はこの宿の饅頭を頂きますので、女将さんはこちらを食べてみませんか」と別の饅頭を差し出した。但し、密かに宿と他店、二つの饅頭を入れ替えて。
サンニャンツは疑うことなく渡された饅頭を口にし…やはりロバに変身してしまった。男はその後、ロバとなったサンニャンツを連れ、改めて旅に出発した。
数年後。男は旅の途中で一人の老いた道士に出会った。道士は男とロバをしばらく見つめた後、「この者も長くあなたに仕えて、もう十分に反省したことだろう。そろそろ許してやってもらえないだろうか」と言った。
男が頷くと、道士はロバの口に手をかけ、上下に大きく引き裂いた。するとそこに元の姿のサンニャンツが現れた。サンニャンツは深く道士に礼を言うと、何処へともなく去って行った。
以上。
思えばこの頃から私は中国の物語、とりわけ仙や道士の出てくるファンタジックな話に強く惹かれていたのだと思う。華流ドラマもよく観るが、神仙物か歴史物になりがちである。
『天官賜福』も、私にとってはその延長線上にある物語だ(無論BL要素に惹かれている部分は否定しないが)。そういう訳で次回からの考察は、中国の風習や宗教観に主眼を置いたものになる予定である。殿下と三郎のいちゃいちゃ描写は、おそらく期待出来ないだろうことを、あらかじめお詫びさせて頂きたい。
<追記 *重要*>
記事を書いていく内、アニメしか見ていない人向けに用語や場面の説明も入れたくなったので、記事タイトルに記号を入れることにした。
☆=アニメしか見ていない人向け解説
★=中国の風習や宗教観
記号を参考に、読みたい記事を探して頂きたい。
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