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番外:「久米仙人」「房中術」など
前回の「童子功」のところで書くつもりだったのだが、いろいろあって削ってしまった話を書いてみようかな、と。
『天官賜福』とは関係のない話なので、番外にした。
一つは、空から落ちた仙人の話。
この話は『今昔物語』や『徒然草』にも載っている有名な話で、「久米仙人」や「久米寺」で検索するとすぐ出てくる。要は、空を自在に飛べるほど神通力の高い仙人が、ある日空を飛んでいた時に、川で洗濯をしていた女性の股の色を見てしまい、「愛心忽ちに発り、通力立ちどころに消えて」落下してしまった、という話だ。(この話には続きもあるが、今は書いてもしょうがないと思うのでやめておく。)
もう一つは、『天官賜福』における「童子功」とは真反対に位置する話で、道教の一部宗派で行われていたという「房中術」の話。
陰陽の交わりがそれぞれに欠けた部分を補い、更なる高みへ人を連れていく、と考えられたことから行われるようになったらしいが、この「儀式」があまりにも奇妙なのだ。
まず選ばれた若い男女が静室に入り、それぞれの師匠によって衣と冠を脱がせてもらうところから始まる。皆が見守る中、男女は部屋の中の決められた方角へ行き、決められた作法に従って愛撫をし(「(男は)右手で(女の)崑崙(頭)をすくい扶け、左手で左側の中元(中丹田。胸部)の左乳のもとを左回りに三回なでまわし…」などと記述されているらしい)、決められた呪文を唱えて、いざ…ということになるようだ。そして男性はこの時決して精を漏らしてはならない、と。
あまりにも淫らな行為だとして、道教内部からも批判を受けたようだが、このようなことが大真面目で行われていたのは事実である。
(この段<参考>『不老不死の肉体ー道教と「胎」の思想』 著者:加藤千恵 発行:株式会社大修館書店 2002年)
さらにもう一つ、これは日本の仏教での話。四十年以上も前の記憶で甚だ怪しいのだが、戒律が厳しいことで有名な曹洞宗の経典『正法眼蔵』の中に、僧と稚児が床入りする時の「お作法」についての記述があるのを、私は見たことがある。
実際、妻帯を禁じた宗派でも、過去衆道は暗黙の了解とされていたことがあったようで、時代小説などを読むと寺の境内の隅に陰間茶屋があったりする。僧がお気に入りの稚児を亡くしてしまい、修行に身が入らないどころか大騒動に発展した事件もあったようで、女色はだめでも男色はいいのか、ならば…とかいろいろ考えてしまった。
どうも私は余談に過ぎる。周辺から更に周辺に話が飛んで、まとまりが付かず、帰って来れないことも多い。
なのでこの辺りの話は切っておいて正解だったかな、と。とりあえず簡単ながらここへ書くことも出来たし、これで良しとしておこう。
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