☆48 神官救出大作戦（表）
まあ、謝憐たちに作戦という程のものはなくて、ほとんど行き当たりばったりなのだけれども。とりあえず順を追って話していこう。
花城が誘ってくれたおかげで、運よく謝憐は極楽坊へ入ることができた。火龍嘯天の術を使って救難信号を送った神官が、そこにいるかはわからないけれど、花城が怪しいと目されているので、ここで何か手掛かりが掴めれば、というところだろう。謝憐としては、花城が関わっていなければいいなと思っていたと思う。
しかし、謝憐は花城に会った喜びと、極楽坊へ来る直前に起こった出来事（与君山であった少年を見つけたこと）で、当初は本来の目的を忘れている。
目当ての少年が見つかって極楽坊で保護される形になったこと、直後花城に緊急連絡が入って彼が席を外したことで、ようやく謝憐は任務を思い出し、手がかりを求めて極楽坊の中を探ることにする。
と。謝憐の先で、下弦月使が何か動いているのを見てしまう。彼は手首に呪枷があり、元神官が鬼界にいるということに何らかの曰くがありそうだと感じ、謝憐は彼の後を付けてみる。途中気配を悟られたか、下弦月使が振り向いて見つかりそうになるが、上手く梁の上へと逃れ、上部から相手の動きを観察する。
下弦月使は程なくある扉の前で立ち止まり、部屋の前に置かれた女性の像が手にする丸い盤の上に賽子を転がす。出た目は「六」が二つ。すぐに彼は賽子を回収し、扉を開けて部屋の中へ入っていく。
しばらく待ったが、下弦月使は出て来ず、また部屋の中の気配も感じられないので、思い切って謝憐は扉を開けてみる。するとそこは何の変哲も無い小部屋だった。どこかに通じている様子もなく、やはりあの賽子が別の場所へ通じる鍵になっているのだろうと謝憐は推測するが、今の謝憐に賽子で「六」二つを出すのは無理だ。
どうしたものかと悩みながら戻ろうとした時、探しに来た花城と出会う。こんな場所にいた理由を何とか誤魔化して、花城が席を外した理由を聞いた後、彼の案内で武器庫に行く。
素晴らしい武器の数々にはしゃぐ謝憐。噂の「湾刀厄命」に触れ、可愛がる。
元の部屋に戻ると、包帯少年が呼ばれてくる。謝憐は彼に「私に就いて修行してみたくはないかい？」と誘い、名前を「郎蛍」と決める。
その後宴が始まり、次々と料理が運ばれてくる。郎蛍の食べる姿に、遠い昔の誰かの姿が重なって見えるが、謝憐はその相手を思い出すことができない。
女の一人が酒を運んできて、謝憐はそれを口にするが、その時、その女が風師だと気づき、酒を吹き出し咳き込んでしまう。皆が心配する中、修行の話を持ち出して誤魔化す謝憐。
話の流れで賭場の話になり、賽子を投げる秘訣を花城に訊くと、花城は運気を借してくれる。その状態で試すと、「六」の目二つは簡単に出すことができた。
その夜は極楽坊に泊まることになり、案内された部屋で花城の非の打ちどころ無い待遇と、こそこそ嗅ぎ回っている自分を比べて思いを巡らせていると、接待係に化けていた風師が探しに来る。
謝憐は部屋の中に招き入れ、ひとしきり風師の愚痴を聞いた後、二人で例の部屋を調べてみることにする。
謝憐が女人像の持つ盤の上で賽子を振り「六」「六」を出すと、案の定扉の先は地下通路に変わっていた。だが、いくらも行かないうちに行き止まりとなってしまい、どうやらもう一度賽子を振る必要があると気づいた二人だったが、ここで謝憐の弱気が出てしまい、風師が賽子を振ることになる。
結果、大ミミズの巣に入り込んだり南方の人喰い蛮族と対面することになり、散々な思いをする羽目になるが、謝憐が再度賽子を振って「六」二つを出し、地下牢へ通じる道へ辿り着く。そこにいたのは、風師の「親友」、地師だった。
二人は彼を助け出し脱出口へ向かうが、着いた先は武器庫で、そこには郎蛍を尋問していたらしい花城の姿があった。花城は地師が、彼の元で十年も働いていた鬼使だと言う。怪しいと思っていたが、半月関で彼を見るまでは確信を持てなかった、と。地師は君吾が花城の元へ送り込んだ間者だったのだ。
「非は我らにある」と謝憐は認め、何とか穏便に事を収めようとするが、風師は地師の傷ついた姿を思い、早期決着を図るべく実力行使に出る。そこへ郎千秋が乱入。郎千秋は花城に斬りかかり、花城は受けて立つが、謝憐はこれを止めようと動いて…。
脱出には成功したが、謝憐の放った小さな火を、花城に怖じけた風師が全力で煽いでしまい、武器庫どころか極楽坊全体が炎に包まれる。
一人残された花城は、何を思うのだろうか。
さて。タイトルに私は『神官救出大作戦（表）』と書いた。表があれば裏もある。次回はその（裏）を見ていこう。
但し、日本語版原作小説三巻（あるいはそれに相当する中文版や英文版など）を読んだ方限定とさせて欲しい。アニメしか観ていない方にとっては、衝撃的なネタバレが含まれているからだ。
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