魏無羨年表・前世ー1
(タイトル画像は『魔道祖師』完結編最終話より。幼い魏無羨とその両親。右の母親の背が高く見えるのは、ロバに乗っているため。魏無羨は父親に肩車されている。)
この記事では、誕生から十八歳頃(屠戮玄武との死闘)までを紹介する。
魏無羨、生まれる
父は江氏の家僕、魏長沢。
母は抱山散人の弟子、蔵色散人。
雲遊道人(各地を遊歴する道士)だった蔵色散人が雲夢に立ち寄った際、二人は知り合い意気投合して結婚。直後、魏長沢は家僕を辞め、二人で各地を遊歴。その途中で魏無羨が生まれたものと思われる。
しかし、その後二人は夜狩に出たまま帰らぬ人となり、一人残された魏無羨は夷陵で彷徨う。この時の経験により、彼は極度に犬を恐れるようになった。
なお、魏無羨の明るくいたずら好きな性格は母親似、「成せぬと知りても、為さねば成らぬ」という江氏の家訓を受け継いだのは父親の影響と思われる。
九歳で雲夢江氏の元へ
魏無羨の両親と仲の良かった江楓眠が探しに来て発見、雲夢江氏に引き取られる。その子、江厭離、江澄とは兄弟のようにして育つ。
十五歳で雲深不知処へ留学
江澄と共に、「多くの優秀な修士を育ててきた名師」として名高い藍啓仁の元で勉学に励むため、雲深不知処へ送られる。
ここで、藍忘機、聶懐柔、金子軒など同年代の者たちと出会う。
初日に「天子笑」という姑蘇の酒を持ち込もうとして藍忘機と諍いを起こし、座学では藍啓仁に口ごたえして処罰を受け、試験では不正行為に加担して謹慎一ヶ月、さらに藍忘機の監視の元「蔵書閣」で礼則編の書き写し。
その後、彩衣鎮で起こった事件について行って水鬼退治、藍啓仁が留守で講義が休みの間に雲深不知処を抜け出した罰で、巻き込まれた藍忘機と共に戒尺による罰を受け、お詫びに兎を渡し、金子軒と殴り合いの喧嘩をして、とうとう雲夢に帰されることになった。
この間わずか三か月。なお金子軒との喧嘩は、彼が婚約者である江厭離のことを悪く言ったためで、その結果、二人の婚約は解消されることになった。
百家清談会の弓比べ
魏無羨十六歳頃、岐山温氏で行われた清談会で弓くらべが行われた。戦果が高かった四人は上から順に、魏無羨、藍曦臣、金子軒、藍忘機だった。
岐山での研修
魏無羨十八歳の頃、岐山温氏から通達があり、各世家から二十人以上の若い弟子を岐山に送るようにと言われる。雲夢江氏からは江澄と魏無羨プラス十八名が行くことになるが、着くと、持ってぃった食料や剣まで取り上げられてしまう。
このひと月ほど前に雲深不知処が温氏に襲われており、藍忘機は骨折した右足が完治していない状態で来ることになる。彼の父親は危篤、兄・藍曦臣は行方不明という状況。なおこの時、逃亡中の藍曦臣を助けるのが金光瑤で、そのことをきっかけに二人は親友になる。
<暮渓山での夜狩>
ある日、集められた彼らは夜狩のために暮渓山に連れて行かれ、洞窟を探すよう命じられる。洞窟の中に降りた彼らは、その奥にあった深淵で、小島のように巨大な亀に似た妖獣に遭遇する。
彼らが戦っている間に、一行を指揮していた 温晁の情婦・王霊嬌が、綿綿と呼ばれる少女に嫉妬して、その顔に鉄の焼印を焼印を押しつけようとしていた。それに気づいた魏無羨は王霊嬌を突き飛ばしたが、焼印は庇った彼の胸に押し付けられてしまう。
危険をさとった温晁は御剣して真っ先に逃げ出し、温氏の家僕や門弟もそれに続く。各世家の弟子たちも後を追ったが、彼らが洞窟の入り口付近まで来てみると、すでにそこは塞がれていた。
再び最奥に戻った彼らは、藍忘機の一言で淵の底に抜け穴があることに気づく。江澄がそれを確かめ、魏無羨が炎で妖獣を誘き寄せている間に、皆はその穴から脱出していく。
ところが、一人の門弟が一矢報いようと放った矢が魏無羨に当たってしまい、矢を引き抜いたところから流れる血の匂いに、妖獣が反応して襲ってくる。それを助けたのは、まだ残っていた藍忘機だった。
二人はなんとか妖獣から逃れたが、脱出路には近づけなくなってしまい、取り残された彼らは救助を待つ。藍忘機によると、その妖獣は神獣・玄武になりそびれた屠戮玄武ではないか、とのことだった。
三日待っても救助が来なかったため、ついに彼らは屠戮玄武と戦うことを決意した。死闘の末、彼らはそれを倒すことに成功する。
だが、脱出路は見つからなくなっていた。疲労と空腹、発熱で動けなくなった魏無羨は、何も話そうとしない藍忘機に歌をせがむ。藍忘機は歌い、目を閉じて魏無羨はその歌に聴き入る。
「なんて曲名?」
聞きながら目を開けると……そこは蓮花塢の自室だった。助けを呼びに行った江澄らによって、二人は助け出されていたのだ。